1999 Fiscal Year Annual Research Report
大規模都市災害に伴うコミュニティの社会変動に関する研究
Project/Area Number |
11610184
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
横田 尚俊 山口大学, 人文学部, 助教授 (10240194)
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Keywords | コミュニティ / 地域住民組織 / 災害 / 阪神・淡路大震災 / 復興過程 |
Research Abstract |
平成11年度には、本研究全体のべースとなる近現代日本の都市史及び災害誌に関する文献・資料を収集・分析したほか、阪神・淡路大震災後の復興過程に関する最新のデータや資料を収集し、刻々と推移する復興の現状を把握するよう努めた。その結果、被災コミュニティの特質について、以下のような暫定的知見が得られた。 (1)阪神・淡路大震災以前の災害誌においては、コミュニティや地域住民組織の対応に関する記述が少なく、それらの機能について十分な分析を行うことはできなかったが、ほとんどの事例において、既存の隣保組織(町内会・自治会等)か創発的な佳民組織が被災住民の相互扶助活動を秩序づけている。 (2)阪神・淡路大震災においては、被災前に「親交的コミュニティ」が形成されていた地域では、緊急対応期における住民どうしの自発的援助活動が比較的円滑に実施され、その有効性も高かったと考えられる。これに対して、応急復旧期・復興期における地域単位での生活再建に向けた取り組みの成否は(被災前の)「自治的コミュニティ」の成熟度に大きく左右されるようである。「自治的コミュニティ」は災害時にも強いコミュニティであることが、ある程度明らかになったといえる。 (3)阪神・淡路大震災の事例から、コミュニティレベルでの復旧・復興への取り組みは、リーダー層(特に次世代を担うサブリーダー層)の厚みや、ボランティア・専門家のサポート態勢如何にも左右されることがわかった。 なお、復興期におけるコミュニティの機能と杜会変動を実証的に分析するために、来年度以降、阪神・淡路大震災の被災地でより詳細な事例調査を実施する計画である。
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