2001 Fiscal Year Annual Research Report
大規模都市災害に伴うコミュニティの社会変動に関する研究
Project/Area Number |
11610184
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
横田 尚俊 山口大学, 人文学部, 助教授 (10240194)
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Keywords | 阪神・淡路大震災 / 復興過程 / コミュニティ再生 / インナーシティ / まちづくり |
Research Abstract |
平成13年度は、当調査研究の最終年度に当たる。このため、阪神・淡路大震災後の復興過程に関する新たなデータ収集と、地域単位の復興プロセスの進捗状況に関する実態調査にもっぱら焦点を絞り、3年間蓄積したデータの分析を行った。 今年度の調査研究から明らかになった主な知見は、以下の通りである。 (1)阪神・淡路大震災の被災地(インナーシティの地域杜会)では、被災住民と行政とが協議を重ねながら、復興への歩みを進めてきた。しかしながら、土地区画整理事業や市街地再開発事業などの法定事業は多くの地域で完了しつつあるが、事業が終了しても、住民が戻ることができず、空洞化が進行している地域も少なくない(特に長田区など神戸市西部の中心市街地でこの傾向が顕著である)。人口増加や経済成長を見込んで計画された事業(特に市街地開発事業)も、採算性等の面から壁にぶつかっており、地域再生戦略の見直しを余儀なくされている地域も存在する。日本社会の構造変動を見据えた上で、多様な層の人々が生活再建を模索しつつ、地域再生への取り組みに参加できるような、柔軟性に富んだ震災復興事業のあり方が求められている。 (2)震災の教訓を踏まえて、コミュニティ再生とまちづくり活動に内発的に取り組む地域が増えてきているその主力となっているのは、概して、震災以前から地域の「周縁部」で活動し、(高齢の地域リーダーに代わって)震災後の応急対応や復旧への取り組みに手腕を活躍してきたニュー・リーダー層である。。震災後、新たなボランタリー・グループやNPOの台頭も含め、復興まちづくりに自覚的にかかわろうとする人々が増加しており、震災を契機としたコミュニティの再編が徐々に進行していると見ることができる。
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