1999 Fiscal Year Annual Research Report
保健・医療・福祉システムの地域的総合化に関する社会学的研究
Project/Area Number |
11610196
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Research Institution | Fuji University |
Principal Investigator |
小松田 儀貞 富士大学, 経済学部, 助教授 (00234881)
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Keywords | 高齢化 / 地域社会 / 住民参加 / 社会的支援 / 地域的総合化 / 介護保険 / 医療・福祉・資源の広域化 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者・地域住民への社会的支援システムとしての保健・医療・福祉が、地域社会でいかにして形成されどのように機能しているのかを「地域的総合化」という視点で捉えようとするものである。本研究では、当初岩手県の数箇所の中山間地域自治体を比較検討することを考えたが、これまでの研究の継続性と対象の独自性の点を鑑み、藤沢町を主対象地としている。その点で、本研究は筆者が受けた平成8年度科学研究費助成研究「中山間地域農村における家族状況と家族支援システムに関する事例研究」(奨励研究A)の継続の要素もある。 初年度は、地域的な保健・医療・福祉システムの形成過程に関する研究と現在機能している諸システムの実態に関する研究を軸としながら、文献調査と予備調査ならびに本調査の一部を実施した。長年医療過疎に悩み、医療資源を岩手独特の県立病院体制に依存しながらも、そこからの脱却を図り、地域住民指向の独自の福祉医療システムを築いてきた藤沢町の取り組みを、文献ならびに聴き取りを通じて明らかにしようと試みた。同町では現在、病院、特別養護老人ホーム、老人保健施設など保健・医療・福祉に関わる組織や施設の殆どが公立公営の形態を取っている。介護保険制度の本格的実施を控え、各自治体で高齢者ケアの包括的システム化が進んではいるが、藤沢町のような包括性と実績を備えた事例は全国的にも極めて稀だと思われる。その長所と課題を地域社会と地域住民の視角から明らかにしようと試みた。ここ数年同システムは、機構的にも人的にもさらなる充実を遂げ、同町のみならず周辺町村の医療・福祉資源としても機能するようになってきている。こうした状況は、介護保険導入後さらに変化する可能性があり、福祉行政の広域化の動きとしても今後に注目したい。
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