2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610197
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
谷 勝英 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (70118363)
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Keywords | 児童労働 / ミャンマー / 教育 / 都市貧困 / 社会福祉 / インフォーマルセクター / 仏教 / 人口 |
Research Abstract |
ミャンマーの児童労働の実態を現地調査を通じて、昨年度と一昨年度の研究で明らかにしてきた。今年度の研究はそれらにもとづいて児童労働に関係する政策や対策および援助活動について考察した。 児童に関する初等教育や児童福祉政策および児童労働に関する法的整備などを、ミャンマー政府の国家的な児童福祉政策、ユニセフ、ILO、ユネスコ等における児童労働政策や具体的な活動およびNGOやINGOの援助活動からそれぞれ分析し、考察した。 1.ミャンマー政府から収集した政策に関する資料から児童労働政策や児童福祉政策を分析し、考察した。 2.ユニセフ機関、WHO、ユネスコ機関およびILOなどの文献資料からミャンマーにおける国連機関の児童福祉や児童労働の対策や活動を分析し、考察した。 3.ミャンマーで活動しているNGOやミャンマー母子福祉協会とINGOのチャイルドホープ、国境なき医師団、YMCAなどの児童福祉に関する活動を分析し、考察した。 この調査研究を分析・考察した結果、下記の内容に要約することができた。 (1)児童労働の温床は、都市インフォーマルセクターにあるとの多くの研究者の説は、調査したヤンゴン市都市部の貧困地区では適合しないことが判明した。理由はヤンゴン市貧困地区での初等教育の在学率が高いことと、ミャンマー政府の管理統制による。 (2)児童労働は家計補助のために行われるという家計補助労働力説はヤンゴン市の児童労働者にも適用されることがわかった。 (3)H.ラベンスタインが述べる高出生率と子どもを労働力としての価値をみた児童労働発生モデルはヤンゴン市のケースでは適用しづらい。理由は識字率が他の途上国と比べて非常に高く、また多子家庭が少ないことによる。 (4)歴代のミャンマー政府の教育政策が親の識字率と子どもの在学率を高くした。深刻な児童労働は南アジアの国々よりも少ない。これはNon-Fomal Educationとしての寺院学校の役割が大きいことと関係している。 (5)国民の児童労働への関心は薄い。子どもの経済的独立性をうながす伝統的価値観と関係している。
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