2000 Fiscal Year Annual Research Report
首都圏周辺部における多文化家族のライフスタイルとネットワークの研究
Project/Area Number |
11610200
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
大畑 裕嗣 流通経済大学, 社会学部, 教授 (10176977)
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Keywords | 多文化家族 / 国際結婚 / ライフスタイル / 地域的ネットワーク / ニューカマー / 韓国人 / 親密圏 / アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、首都圏の東北端に位置し、東京のベッドタウンとして近年急速な人口増を示しているR市、U市およびその周辺地域に居住する多文化家族(multicultural family.本研究では、国際結婚カップルと、カップルと同居する他の構成員から成る家族を意味する。)が、どのようなライフスタイルを形成しており、また多文化家族間および地域社会の他の構成員とのネットワークにどのような意味を付与しつつ、地域的ネットワークを再生産しているかを明らかにすることにある。調査対象を、研究代表者自身もその一員である、ニューカマー韓国人女性と日本人男性カップルを中心とした家族に絞り、主要インフォーマントへの集約的な面接と参与観察によって、データを収集した。 対象とするニューカマー韓国人女性は、来日3年から20年程度、年齢は30代前半から40代後半までの幅を有し、主として専業主婦である。彼女たちは、在住外国人密度が大都市中心部に比べると低いこの地域において、孤立しがちな一般のニューカマーと異なり、相互間に活発な交際・相互扶助のネットワークを積極的に維持、発展させているという特徴がある。しかし、彼女たちの家族が、「多文化家族」という規定に一般的に合致するかには疑問の余地がある。現在までに確認しえたところ、夫婦の会話は、ほとんど、あるいは完全に日本語のみでなされているケースが大多数であり、子どもへの韓国語、韓国文化の意図的な継承は、ほとんど成功していない。彼女たちは、周囲の日本人と親しい交際を深めることにあまり期待せず、ニューカマー相互の親密圏にアイデンティティ維持を大きく依存している。今後、日本人配偶者、子どもの調査をさらに進め、ニューカマー韓国人女性とその家族の生活構造について、より多面的なデータを収集、分析する予定である。
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