1999 Fiscal Year Annual Research Report
フォーカスグループインタビューによる難病児親の会の組織論的課題の解明
Project/Area Number |
11610203
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
岡 知史 上智大学, 文学部, 助教授 (50194329)
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Keywords | 難病 / 親の会 / フォーカスグループ / セルフヘルプグループ / 患者会 / ピアカウンセリング / 児童 / 質的調査 |
Research Abstract |
難病児親の会24団体に親の会の相談活動をテーマにフォーカスグループを行うことを通知し、相談活動に従事する会員の参加者を募集した。7団体は無回答または参加を辞退し、残り17団体より26人の参加の申し出があった。2は日程調整不調または児童の体調不良のため参加できず、残りの24人が参加した。平均4人のフォーカスグループ(2時間)を6回行った。インタビューは録音し、逐語記録をとった。相談活動の難しさについて以下の点が認識されていることが明らかになった。(1)多くの人は自宅で相談を受けており、日常生活のなかで深刻な相談を受けているため、気持ちの切り換えができず、その心理的負担が大きい。また電話が早朝、深夜を問わず、長時間に及ぶことが多いため、児童のケアや、家事の遂行にも支障が生じている。難病にかかわる相談への応答を、ときには自分自身の在宅の児童の目の前で行わなければならず、児童の情緒を不安定にすることもある。(2)医療の専門家ではないのに医療の相談を受ける負担が大きい。遺伝疾患について次子を産む・産まないの選択を支援する立場に置かれてしまい、専門的な遺伝カウンセリングの代替をさせられている。また、病院の紹介を頼まれるが、それは治療法の選択にもつながるので、事例だけを話すようにしている。しかし、それが結果として病院を紹介・推薦されたと考えられてしまっている。(3)治療不可能な病気、進行性の病気、児童の死につながる病気など、親が受け入れ難い状況を相談され、それに対して答える術がない難しさがある。(4)インターネットの普及によりEメール、メーリングリスト、BBSによる相談活動が増えたが、それによって間違った情報が安易に流される弊害が出ている。親の会の相談活動の支援としては、公共施設(福祉会館等)の一角を親の会の相談窓口にすることによって、自宅で電話相談を受けている状況を緩和することが考えられた。
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