1999 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュへの援助と社会開発-識字への取り組みを中心として-
Project/Area Number |
11610229
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Research Institution | Sendai University |
Principal Investigator |
鈴木 弥生 仙台大学, 体育学部, 助教授 (80289751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 一彦 秋田桂城短期大学, 地域社会学科, 助教授 (40259304)
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Keywords | バングラデシュ / 識字 / 社会開発 / 貧困 / 子どもの労働 / NGO / 日本の援助 / ストリートチルドレン |
Research Abstract |
1999年8月13日より9月2日までバングラデシュ人民共和国に滞在し、現地での調査を実施した。調査の方法は、各関係機関のスタッフと利用者、スラム(ダッカ市内)や村(ダウドゥカンディ郡)の住民からの聞き取りによる。訪問先は、日本大使館、JICA、OECF、UNICEF、UNDP、文部省・非公式教育局、APARAJERO・BANGLADESH(NGO)、SHOISHAB(NGO)、スラム(以上ダッカ市内)、コミラ県・教育事務所、同県・ヘルスコンプレックス(病院)、同県・ホムナ郡・ホムナ小学校、同県・ダウドゥカンディ郡・ジョマルガンディ小学校、同郡のMRDP研修センタ-、ポンプ収納庫、村・組合である。 農村の識字率は、都市のそれよりも著しく低い。その背景には、農村における貧困がある。このような貧しさから逃れようと、多くの人々は首都ダッカへ移動しているが、その多くはスラムへと吸収されている。そのスラムが政府の強制的な政策により撤去されようとしている。確固たる収入が得られない親たちにとって、子どもたちは貴重な稼ぎ手となる。また、家庭内での居場所を喪失し、路上での生活を余儀なくされ「ストリートチルドレン」と称される子どもたちも増えている。一方、子どもだけをダッカの親戚や知人等に預けてメイドとして稼動させ、僅かながらの賃金を得ている親もいる。この子どもたちの殆どは学校に行ったこともなく、自分の名前さえ書いたことがない子どももいる。貧しければ貧しいほどに、子どもの労働は教育よりも優先されてしまうという現状がある。そして、就学の機会を喪失せざるを得ない状況に置かれた子どもたちは、非識字者となることを余儀なくされ、次世代へと貧困が繰り返されている。農村での貧困・飢餓が解消されなければ、これらの問題が深刻化することは必至である。このような現状に対して、ODAやNGOがさまざまな取組を行っている。日本の援助の実施状況については、次項(11)に記載した論文にまとめ、NGOの援助内容については平成12年度に報告する予定である。なお、平成12年度も現地での調査を実施する。
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Research Products
(2 results)