2000 Fiscal Year Annual Research Report
現代ドイツにおける学校の自律性の強化の現状とその歴史的背景に関する総合的研究
Project/Area Number |
11610240
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
遠藤 孝夫 弘前大学, 教育学部, 助教授 (70211779)
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Keywords | 学校の自律性 / 学校開発 / 学校の自由裁量 / ハンス・ギュンター・ロルフ / ニーダーザクセン州 / ブレーメン州 |
Research Abstract |
本研究は、現代ドイツで進行している学校の自律性の拡大(Autonomie der Schule)の強化の現状を調査研究するとともに、こうした教育改革の歴史的背景を3年計画で究明することを課題としている。第2年度目の今年度の主な研究活動と研究成果は以下の通りである。 1.まず、前年度に引き続き学校の自律性の拡大に積極的な諸州における教育法令の収集を行った。平成12年12月にはドイツ出張を行い、特にヘッセン州、ニーダーザクセン州、ノルトライン・ヴェストファーレン州の教育法令を集中的に収集するとともに、ニーダーザクセン州においては、公立基礎学校を訪問し、学校の自律性拡大の現状を視察した。 2.1の資料収集及び現状視察の結果、学校の自律性拡大に積極的な諸州においては、学校の自由裁量の拡大、自律的な学校予算の執行の拡大、学校組織及び教育計画における自律性の拡大などが顕著に見られ、しかもこれらの事項が教師と父母と生徒の参画の下に作成される「学校プログラム」として具体化されていることが明らかになった。同時に、かかる学校の自律性の拡大と平行して、学校監督(学校行政)の在り方も、従来の管理統制中心から学校の教育的質の向上に向けた助言活動中心へと、大きな変革が志向されていることも明らかとなった。 3.さらに、こうした現代ドイツで進行中の学校の自律性の拡大に向けた教育改革の理論的背景となっているのは、ドルトムント大学のハンス・ギュンター・ロルフ教授を代表者とする「学校開発」(Schulentwicklung)理論であることも明確となった。 4.最も教育改革が進行しているブレーメン州については、日本教育行政学会年報第26号に掲載された論文で発表し、学校の自律性の歴史的背景の1つと考えられるシュタイナー学校における事例については、弘前大学教育学部紀要第85号で発表することができた。
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Research Products
(2 results)