2001 Fiscal Year Annual Research Report
現代ドイツにおける学校の自律性の強化の現状とその歴史的背景に関する総合的研究
Project/Area Number |
11610240
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
遠藤 孝夫 弘前大学, 教育学部, 助教授 (70211779)
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Keywords | 「良い学校」 / 学校開発理論 / 学校の自律性 / ハンス=ギュンター・ロルフ |
Research Abstract |
本研究は、現代ドイツで進行している学校の自律性(autonomie der Schule)の強化の現状を調査研究するとともに、こうした教育改革の歴史的背景を究明することを課題としている。今年度は、3年継続の研究の最終年度にあたり、主な研究活動とその成果は以下の通りである。 1)まず、学校の自律性の強化を特徴とする現代ドイツの教育改革の教育学研究上の歴史的背景に関する研究を行った。その目的のために、主にドルトムント大学・学校開発研究所において、関係文献の収集と関係者(特にハンス=ギュンター・ロルフ教授)への質問を行った。その結果、1970年代から80年代にかけての時期に行われた「良い学校」(Gute Schule)に関する実証的学校研究と、その成果を継承して、「良い学校」を実現するための方策を明らかにした学校開発理論に関する研究という二つの教育学研究の営為とその成果が、1990年代以降の教育改革の歴史的・理論的背景に据えられていることが解明された。 2)1)の成果を明らかにする過程で、同時に、1970年代以降の実証的学校研究と学校開発に関する理論研究が、アメリカ及びイギリスにおいて顕著な効率性を重視する教育研究とは異なり、学校関係者、特に教員と生徒と父母の連帯と共同性を基調とする教育観をその大きな特質としていることも析出することができた。合わせて、こうした教育学研究の特質が、1990年代の学校の自律性の強化を特徴とする教育改革に反映していったことも解明された。 3)1)と2)の研究成果を、「フォーラム:ドイツの教育」というドイツ教育研究者の研究集会で発表するとももに、論文「現代ドイツにおける『良い学校』に関する実証的学校研究と学校開発理論ー共同性と連帯を基調とする教育改革の歴史的・理論的背景ー」として公表した。
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Research Products
(1 results)