2000 Fiscal Year Annual Research Report
通級指導教室における学習障害児の実態とその教育的支援に関する研究
Project/Area Number |
11610243
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
細川 徹 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60091740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 芳久 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (10193012)
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Keywords | 学習障害児 / 通級指導教室 / 追跡調査 |
Research Abstract |
本年度は2つの追跡研究を行った。1つは、本研究による2年間を含めた3年間にわたる4名の学習障害児(いずれも小学校高学年、男児3名、女児1名)の事例的な追跡研究で、彼らが学校生活への適応面では大幅な変容(改善)を示しつつも、読解については通級指導及び通常学級における指導法の様々な試みにもかかわらず余り改善がみられなかったことが示されたが、同時に、個人差の大きいことも指摘された。また、通級教室における予習的対応が通常学級での授業の理解に効果的であることが示された。 もう1つは統計的追跡研究で、1999年1月に調査した仙台市の小学校の言語障害通級指導教室に通う21名の学習障害(疑い含む)児の2001年1月現在の学習の習得状況を中心に、通級担当教師に聞き取り調査を行ったものである。中学校に進学した者と転校により状況が把握できない者を除いた15名について、国語と算数の習得状況の変化を分析した結果、両科目とも、有意ではないが学年が進むにつれ遅れが拡大する傾向が示された。一方、両科目の変化の相関は有意ではなかった。多くのケースで認知の偏りあるいは能力のアンバランスが更に明瞭になったが、逆に、当初の学習障害の診断に疑問が残るケースも認められた。通級指導は児童の社会的技能を伸ばす上でも効果があったが、中学校に進学すると不登校に陥るケースもあり、学習障害児に対する校種を超えた援助システムの必要性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hosokawa T,Sasaki,M,Hwang Y,and Abe Y.: "Four types of children referred for learing disabilities in resource roon setting"International Journal of Psychology. 35. 431 (2000)
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[Publications] Hwang Y,Hosokawa T,and Abe Y,: "Special education services for students with learning disabilities in Japan."Paper presented at the 1st iAPED International Conference on Education Research.. (2000)
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[Publications] 阿部芳久,細川徹,黄淵熙: "通常学級における学習障害児への教育的対応に関する実態調査"日本LD学会第9回大会発表論文集. 124-127 (2000)
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[Publications] 黄淵熙,細川徹,阿部芳久: "学習障害児を対象とする通級指導の実態-言語障害通級指導教室を中心に-"日本LD学会第9回大会発表論文集. 128-131 (2000)