1999 Fiscal Year Annual Research Report
教育現場における高機能自閉症の実態と対応方法に関する検討
Project/Area Number |
11610244
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮本 信也 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (60251005)
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Keywords | 広汎性発達障害 / 自閉症 / 高機能自閉症 / 通常学校 / 意識 / 対応 / グループ指導 |
Research Abstract |
通常学校教師を対象として高機能自閉症に関する研修セミナーを実施し、その有効性を検討した。併せて、セミナー参加者の意識と学校における高機能自閉症児の状況を調査した。また、高機能自閉症児を対象とした小グルーブ指導の試みも行った。研修セミナーに参加した通常学校教師55人中47人(85.5%)から回答が得られた。自閉症に関する意識では、80%の人は部分的に正しい知識を有していたが、「変わった子」など不適当な認識もみられた。セミナーにより、自閉症のイメージがよく変化したと答えた人が57%みられた。高機能自閉症については、用語を知っているとの回答は17人36%に過ぎなかった。この17人中15人が実際に高機能自閉症児を経験していた。一方、セミナーにより思い当たる児童・生徒がいるとの回答が17人みられた。結局、32人68%の教師が通常学校において高機能自閉症児と接していることが伺われた。この高機能自閉症児達は、学校では本人の性格の問題、親の育て方の問題などととらえられ、自閉症と理解されていたのは34%であった。グループ指導は、高機能自閉症児10人を対象として、1か月に1回、1回90分で行った。規則に従った遊びを中心に行った。ことばによる指示を中心とした対応では勝手な行動が多く、課題の遂行が困難であった。それに対して、指示やヒントなどの中で視覚的情報に変換できるものは可能な限り転換した対応を行ったところ、指示に従った行動が増加した。以上より、通常学校の中にいる高機能自閉症児は少なくないことが推察された。しかしながら、自閉症であることに気付かれていることは少なく、多くは不適切な認識がされていることが伺われた。高機能自閉症に関する研修の場を設けることで、こうした状況を改善できる可能性が示された。さらに、高機能自閉症児自身に対しては、視覚的手がかりなど自閉症としての認知特性に配慮した指導が有効と思われた。
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