2001 Fiscal Year Annual Research Report
近代学校史における各種学校の研究――明治期東京を中心に――
Project/Area Number |
11610249
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土方 苑子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50099909)
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Keywords | 各種学校 / 中等教育 / 私立学校 / 中学校 / 実業学校 / 予備教育 |
Research Abstract |
明治期東京市の各種学校の研究は今年で3年目、最終年度を迎えた。これまで東京都公文書館所蔵の公文書のうち、「各種学校」と表題に含まれる簿冊(1冊の厚さおよそ3-5センチ程度)を明治19-37年にわたっておよそ60冊のすべてについて撮影し、それをデータベースにしてきた。データベースの項目は、校名、各学校の設置にかかわる人名、所在地、教育課程などのほか、移転や校主の継続関係、さらには廃校にいたるまでのさまざまなデータが含まれる。これらの総件数はおよそ3800件であった。問題はこれらの学校名に同一校がどうかの判断が非常に困難なものが多数あったことである。本年はこの基礎となるデータの確認が最大の課題となった。 撮影したフィルムの再読、原簿冊の検討(字体に各種あり、また墨書のため固有名詞などは判定がむずかしい)、さらには東京都公文書館が作成した目録である『学事関係件名目録(東京府・東京市)』との対照をおこなった。また公文書中には各種学校の調査類も含まれており、主要なものを点検に際して用いた。これらの結果1500件あまりの各種学校名が明らかになった。 細部にわたる分析はこれからであるが、報告書中の「各種学校名簿」にみるように、漢学塾、数学塾、英学塾、予備校、裁縫学校などのほか、商業学校、水産学校、工業関係の学校などのちの実業学校を初めとして、実践女学校、女子英学塾などの女子の中・高等教育機関、成城学校などの男子の私立中学校になっていく学校などがいずれも各種学校に分類されて存在した。中等教育史は各種学校も含めてえがかれるべきであり、今後そのために不可欠の名簿が作成されたということができる。
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