2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610250
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Research Institution | OCHANOMIZU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
耳塚 寛明 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (40143333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小杉 礼子 日本労働研究機構, 主任研究員
酒井 朗 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (90211929)
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Keywords | 無業者 / フリーター / 下位文化 / 社会的背景 / 進路指導 |
Research Abstract |
本研究の課題は、90年代以降漸増する高卒無業者が、どこでどのようにして生み出されてきたのか、そしてそれはいかなる帰結を高等教育さらには全体社会にもたらすことになるのかについて、教育社会学的に分析・考察することである。高卒無業者層が漸増してきた背景には、(1)高卒労働市場の逼迫、(2)高校生文化の変容、(3)教育理念や進路指導の変容、(4)家庭的背景、といった複数の要因が関わっていると考えられる。 これらの問題群に接近するため、(1)既存統計分析(東京都、富山県、札幌市)、(2)高校進路指導に関する教員インタビュー調査(同)、(3)高校教員対象の質問紙調査(同)(4)東京都の進路多様校2年生への質問紙調査を行った。 主な知見は以下のとおりである。(1)無業者率の高い学校は学校階層上相対的に中位以下で、比較的新しい学校に多い。また専門学科や併設校に続いて普通科も上昇傾向にある。(2)東京都では無業者の増加に対する教員の認識は様々であるが、進路指導「理論」は「未定者増加」を含む高校進路指導の容認へと向かっている。(3)東京都では教員の進路決定の方向付けは弱いが、他方富山県では就職を基本とした進路の方向付けが行われ、教員の進路決定力が強い。札幌市では教員の進路決定の圧力もある程度はあるが、労働市場が余りにも悪く無業者を受容せざるを得ない。(4)調査対象校の下位文化は「脱学校的」であり、専門学科より普通科に強く表れている。(5)フリーター希望者はアルバイト経験率も高く、交友関係も校外で広いなど青年役割に適合的である。(6)フリーター希望者は就職や専門・各種学校希望との間で揺れている。(7)フリーター希望者は、父親が「高等教育・ブルーカラー」と「中等教育・ブルーカラー」で多い。業績主義的なアスピレーションとは別に、社会階層的背景が進路志望を左右している。東京都の高校2年生に対して行った調査は、今後追跡調査を行う予定である。
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Research Products
(2 results)