1999 Fiscal Year Annual Research Report
近世初期日本における都市住民の職能形成と読み書き能力
Project/Area Number |
11610252
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
八鍬 友広 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (80212273)
|
Keywords | 識字 / 読み書き / 寺子屋 / 手習 |
Research Abstract |
本研究は、読み書きに関する基礎的能力が、日本においてどのように普及し大衆化していったのかということを、17世紀から18世紀の都市に焦点をあてて解明しようとするものである。その際、都市住民の必要とした職能形成のなかに、読み書き能力がいかなる位置を占め、また役割を果たしたのかという視点から調査・研究をおこなうものである。 本年においては、福島県、福井県、富山県などにおいて、職能形成、読み書き教育、都市における生活史などに焦点を当てながら、基本的な調査をおこなった。また、新潟県村上市における寺子屋資料をもとに、18世紀中葉の都市住民の読み書き教育の実態について詳細な検討をおこなった。 前者の調査においては、福島県内の訴状文言の類似に着目しながら、訴状作成という主として村役人層の知識がどのように形成されるかの検討をおこなった。これは、論文「訴願する実力」としてまとめた。また福井県内の調査では、「仕事書上帳」という、農村における仕事の実態を解明し得る資料を発見した。残念ながらこれは、都市住民の職能に関するものではないが、これだけ詳細に1日ごとの仕事の実態がわかる資料はこれまで知られておらず、貴重なものである。今後、分析をおこなう予定である。 新潟県村上市における調査では、18世紀中葉に同地域に存在した寺子屋の門人帳と、城下町であった村上町の町絵図とを照合する作業を行っている。その結果はすでに論文として発表済みであるが、さらに詳細な検討をおこなう予定である。
|
Research Products
(1 results)