2002 Fiscal Year Annual Research Report
近世初期日本における都市住民の職能形成と読み書き能力
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11610252
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
八鍬 友広 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (80212273)
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Keywords | 識字 / 読み書き / 寺子屋 |
Research Abstract |
本研究は、読み書きに関する基礎的能力が、日本においてどのように普及し大衆化していったのかということを、17世紀から18世紀の都市に焦点をあてて解明しようとするものである。その際、都市住民の必要とした職能形成のなかに、読み書き能力がいかなる位置を占め、また役割を果たしたのかという視点から調査・研究をおこなうものである。 本年においては、昨年に引き続き西日本における都市関係資料と識字関係資料の収集を行った。具体的には、京都市歴史資料館、京都府立総合資料館、大阪府中之島図書館、山口県立図書館、山口県立文書館において、近世期の都市住民書き上げ帳、中世末から近世初期にかけての起請文および宗門人別帳、手習師匠関連資料、その他識字関連資料についての調査を行った。時間の関係で、当初予定していた兵庫県・岡山県の調査は実施することができなかった。 以上の調査の結果、大阪府、奈良市近隣地域においては職業書き上げ帳および手習師匠関連資料を、京都市においては中世末から近世初期にかけての起請文、宗門人別帳、その他の都市関係資料を収集することができた。このなかで、中世末期における京都町内の左官職人の花押記載資料は、当時の職人の識字を知る上で重要である。 近世初期という時期設定には該当しないが、山口県立文書館において、明治初期の識字率調査関係資料を発見した。本資料は、明治初期のみならず、近世期における一般庶民の識字状況をも知り得る、きわめて貴重な資料である。今後さらに、本格的調査をおこなうことが必要である
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[Publications] 八鍬友広: "近世における文字文化の地域的浸透"国立歴史民俗博物館研究報告. 97集. 1-18 (2002)
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[Publications] 八鍬友広: "地域としての「都市」と手習塾"地方教育史研究. 24(発表予定). (2003)
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[Publications] 辻本雅史, 沖田行司: "教育社会史"山川出版社. 438 (2002)