1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610253
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
花井 信 静岡大学, 教育学部, 教授 (10022295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 敦 日本大学, 文理学部, 助手 (00297756)
谷 雅泰 福島大学, 教育学部, 助教授 (80261717)
三上 和夫 神戸大学, 発達科学部, 教授 (80093467)
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Keywords | 複写御真影 / 学区会 / 学齢簿 / 就学状況 / 試験得点表 / 教育評価 / 地域学校史 |
Research Abstract |
学校と地域社会との連携について、長野県下高井郡旧日野村(現中野市)の史料調査を行い、今年度は以下の点について、研究が進んだ。 1.尋常小学校への「御真影」下付の状況が明らかになり、複写「御真影」が明治29年日野尋常小学校に下付された。代金は2円50銭であった。いまひとつ、複写「御真影」の前に、明治22年の段階で、民間作成の「御真影」を儀式の際に飾り、敬礼をしていた。つまり、三種類の「御真影」の存在があったことが知られる。従来知られていなかった史実である。 2.日野村合併前に、間山村・更科村・新野村3村の学区会が組織されていた。そこでは学校維持に必要な予算の協議・決定が行われた。その決定内容が、各村の村会で教育予算として計上される。長野県では、複数村で小学校を設置する場合、学区会という連合村会が組織され、明治15年以降立ち上げられる。その実態が明確になった。一般行政とは別個の教育運営機関が存在したということである。これまでよくは知られてこなかった。 3.学齢簿・学籍簿・除籍簿などが残されており、そこから、就学状況を分析できる。不就学の理由も指摘できる。文部省統計の就学率の信憑性には疑いがある。それを一地域で、リアルにみることができる。学校と家庭・地域との接点が、就学というケースで浮き彫りにされるであろう。まだデータのインプットの段階である。 4.試験得点表という史料がある。これを通じて、往時の子どもの学力レベル、また評価方法が分かる。森有礼は人物重視の評価を強調したが、それが現場でどう実施されたか、先行研究の無いケーススタディーである。データのインプットの段階である。
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