2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610254
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山崎 準二 静岡大学, 教育学部, 教授 (50144051)
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Keywords | 教師 / ライフコース / 成長 |
Research Abstract |
研究の最終年度である平成13年度は、平成11年度に実施したアンケート調査第4回目で得られたデータの量的な再分析作業と、平成12年度に実施したインタビュー調査(教職2年目の小中学校教師男女各2名、計4名を対象)で得られたデータの質的な再分析作業を行ない、両調査の結果を突き合わせながら、まとめの取りまとめ作業を行なった。 全体的な結論としては、教師としての発達と力量をどのようなものとして捉えるべきなのか、従来の捉え方の転換が必要なのではないだろうか、という点である。すなわち第一は、なによりもまず教師としての発達観を、従来の「積み上げ型」で「垂直的な(vertical)発達」観から、「選択的変容型」で「水平的、ないしはオルターナティブ(horizontal, or alternative)な発達」観へと、第二は、その発達観の転換に伴って、教師としての力量観を、従来の「付与型」で「脱文脈・脱状況性の力量」観から、「生成型」で「文脈・状況依存性(indexicality)の力量」観へと、それぞれ捉え方を転換していくことである。 養成教育や現職教育も含めて、従来の教師教育実践が学生・現職教師の外側から脱文脈的・脱状況的な理論・知識・技術を提供することによって発達の引き上げを図ろうとしがちであったのに対して、ライフコース研究では語り手が内に抱えるさまざまな思いを引き出し、聞き取りながら、その「語られたもの」一つ一つを個人的社会的歴史的な文脈・状況上に位置づけ、解釈し、意味構成する。そしてそのことを通して、語り手自身がそれらの文脈・状況上にいる自分に気づき、発見し、時には聞き取られる喜びによって癒され、そして次なる方向を見出し、選択していくことを援助していくことができるのである。そこに教師のライフコース研究の教師教育実践としての可能性を展望しうるのである。
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