1999 Fiscal Year Annual Research Report
新しい技術教育の社会的役割と教育課程編成に関する研究
Project/Area Number |
11610260
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
橘田 紘洋 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20024010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 安正 滋賀大学, 教育学部, 教授 (20027824)
近藤 義美 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (10036923)
桐田 襄一 京都教育大学, 教育学部, 教授 (40205042)
田中 喜美 東京学芸大学, 学校教育学研究科, 教授 (00115247)
矢田 茂樹 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (30046510)
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Keywords | 技術教育 / 生産的人格 / 創造性 |
Research Abstract |
科学技術教育の重要性が叫ばれている今日であるが、「科学技術」という日本語の曖昧さから、ともすると科学あるいは応用科学教育に歪曲される傾向が見られる。「科学技術」の主要な概念には、科学的合理性を踏まえた技術がイメージされているのであるから、「科学技術教育」の実体は科学教育と技術教育との二面性を持つことを理解しなければならない。何故なら、科学が自然の真理・法則性の分析的理解に重点を持つに対し、技術は生活の向上を念頭においた課題解決の実践を目的とするからである。そこで、本研究においては技術教育に着目し、新しい技術教育の社会的役割とその教育課程編成について提唱しようとしている。研究対象とする技術教育は職業教育や専門教育を視野に入れつつも、普通教育としての技術教育とする。初年度においては技術教育の理念と社会的役割について、重点的に検討・整理された。以下に概要を記す。 ○技術教育の理念:技術教育は、生産の理解と実践的能力を備えた人格の形成を図ろうとするものである。 現代社会においては、職業の種類に関わらず、国民的素養として生産の理解と実践的能力を身につけねばならない。そのため、児童・生徒に対し、(1)技術的課題解決力、(2)社会的・集合的な事柄の解決に向けての協同的行動能力を備えた人格の形成を図る必要があり、それは技術教育において好適に行われる。 (1),(2)を備えた人格は「生産的人格」と表現され、「自然及び社会の法則を認識し、計画的・合目的なものづくり活動を合理的に行い、技術を公正に評価することのできる能力を備えた人格」と定義される。 ○技術教育によって発達・形成される能力・資質 ・手と感覚・知覚の連携に基づく巧緻性 ・自己統制、正確さ、繊細さなどの感性 ・自らを律しつつ、他者と協力して目標に迫る協調性 ・システム的思考力、表現力、工夫力、実践力等の知性、感性、技能を総合した創造力 ・高度技術社会を支えるテクノロジーに関する基本の理解と公正な評価に関わる技術評価力 ・生産→消費→リサイクルに対する行動と考え方、すなわち倫理観 ・仕事の意味の理解や生産活動の基本概念の形成、すなわち勤労観 特に、技術教育における学習活動特徴は、科学的概念と創作活動が連携・融合された中で課題解決を図る点にあるところから、技術教育は学校教育における創造性育成の中核となるべき教育分野である。
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