2000 Fiscal Year Annual Research Report
高校と大学の接続関係についての理論的研究-カリキュラムの構成原理から見て-
Project/Area Number |
11610267
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
今井 重孝 青山学院大学, 文学部, 教授 (80160026)
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Keywords | カリキュラム / 接続 / ホリスティック教育 / コアカリキュラム / シュタイナー学校 |
Research Abstract |
日本の高校のカリキュラムは多様化が進み、基礎学力の低下が憂えられている。アメリカの高校のカリキュラムはかつての日本の高校のカリキュラムのように、必修科目を多くし試験により学力検査を頻繁にするシステムをとっている。ドイツの場合は、1972年のボン協定により、多様な科目選択の可能性を開いたが、今や、バーデンビュルテンベルク州では改めて必修科目を強化する方向で改革が遂行されようとしている。日本でも、大学側からの学力低下批判が強まり、多様化路線は修正を余儀なくされ、世界は再び、学力重視の方向での大学と高校の接続の回復へと向かいつつあるように見える。 しかしながら、アメリカやイギリスなどは日本をモデルにして改革しているわけで、その日本では、すでに一度学力一辺倒の教育システムの問題性が明らかになったあとの改革に着手しているわけで、まさに、学力低下に対しても対抗できながら、新しい道を見いだすことが要請されている。こうした中にあって、大切なことは、高等教育自体同一年齢層の50%近くが進学するようになり、今や、大学は、学者の形成ではなく社会人の形成が現実の機能となっているということである。こうした中にあって、学問中心ではない新しいコアカリキュラムを大学が構成することが、高校と大学の新しいかつ望ましい接続関係を確立する上で大切であり、高校のカリキュラムも生活する上で必要なミニマム・エッセンシャルズを基準としてカリキュラムを再構成する必要がある。換言すれば、高校のカリキュラムを時代遅れの大学のカリキュラムにあわせるのではなく、大学のカリキュラムを高校のカリキュラムに合わせる方向で考える必要があるのである。そうした新しい方向性として、ハーバード大学のコアカリキュラムや、シュタイナー学校のカリキュラムを取り上げ、カリキュラムにおけるホリスティック教育の原理の重要性を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 今井重孝: "高校から見た大学との接続関係-トイツ"週間教育資料. No.660. 14-15 (2000)
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[Publications] 今井重孝: "アンケートに見るトイツの大学と高校の接続問題"週間教育資料. No.661. 14-15 (2000)
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[Publications] 今井重孝: "ホリスティック教育の観点から見た大学のカリキュラム改革"京都大学高等教育研究. 6. 8-15 (2001)
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[Publications] 今井重孝: "ルーマンの教育システム論の応用可能性-シュリーバーの場合"青山学院大学文学部紀要. 42. 1-13 (2001)
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[Publications] 今井重孝: "ハーバート大学のコアカリキュラム"高等教育研究叢書. 65(予定). (2001)
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[Publications] 吉田敦彦,今井重孝編: "いのちに根さす日本のシュタイナー教育 3/31出版予定"せせらぎ出版. 250 (2001)