2000 Fiscal Year Annual Research Report
大学教員の任期制に伴う人事の活性化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11610268
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山野井 敦徳 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (80019067)
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Keywords | 大学教授市場 / 大学教員の移動 / キャリア形成 / 大学教授市場の流動性 |
Research Abstract |
本年度の研究概要は3年計画の2年度目である。研究計画においても申請したように,前回の公募制に関する研究と連動して実施している。それはわが国の大学人事政策を研究する上で,大学教授市場の流動性は,今回の任期制,テニュア制,公募制等と不可分の関係にあるからである。 本年度の研究成果は大きく分類すると,次のように要約されるであろう。すなわち第1には公募制に関する研究のさらなる実証研究である。とくに今回は公募制による採用者と公募文書の関係を実証化した。実際に広報された公募文書と採用された人材とのマッチング調査を行った。大学職員録に典拠して,採用された人材を特定し,学位・職階・年齢等を時系列的に比較分析した。その結果によれば,資料の関係上,教育学部を中心とするデータに焦点を当てたが,大学院修士課程の設置に伴って,とくに職階の高位化,高年齢化が生じており,とりわけ40歳代前半の教授層の採用が多くなっている。この背景には設置審審査のマルゴウ教授の要請が公募制を招来していることが実証された。個別の教育学部ごとに時系列的に追跡してみると,修士課程設置まではそのような現象が認められるが,設置後においてはそれらの高位化や高年齢化は減少している。この結果は,大学評価の恒常的な審査の必要性を示唆していると言える。 第2に任期制,テニュア制及び公募制に関するインタービュー調査や資料の収集を行った。とくに今回は米国における高等教育研究者を尋ねると同時に,公募制の情報提供している新聞社,AAUPを訪問した。来年度はヨーロッパを訪問し,わが国との比較研究を実施する。国内においては人事政策において積極的かつ個性的な人事政策を実施している大学及び研究所を実地調査した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山野井敦徳: "大学教師の役割と評価-市場化におけるアカデミック・プロフェッションの視点から-"高等教育研究. 第3集. 107-124 (2000)
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[Publications] 山野井敦徳: "大学教員の流動性と学問的生産性"『大学改革』青木昌彦編. 329-353 (2001)
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[Publications] 山野井敦徳: "大学教員の公募制に関する研究-公募文書と採用者のマッチング分析を中心に-"広島大学・高等教育研究開発センター大学論集. 第31集. 17-33 (2001)