1999 Fiscal Year Annual Research Report
最重度聴覚障害児の聴能の発達に及ぼすコミュニケーションモードの違いによる影響
Project/Area Number |
11610271
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 信雄 愛媛大学, 教育学部, 教授 (70132719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立入 哉 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (90294777)
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Keywords | 最重度難聴 / 聴能の発達 / 人工内耳 / 周波数圧縮変換型補聴器 / コミュニケーションモード / 手話 / 聴能 |
Research Abstract |
コミュニケーションモードの評価と話しことばの習得状態について言語習得途上のろうの幼児のビデオ分析の結果から見ると、コミュニケーションモードは、2〜4歳の模倣期では相手の使用しているモードにあわせて使用し始め、常に使用する状況が続いた。小学生時期になると相手と場所に応じてコミュニケーションモードを使い分けるようになることがわかった。また、話しことばの習得には、話しことばの特徴的な周波数帯域の補償が不可欠であり、この領域が人工内耳等により補償される始めると、発話量が増加し、表出できる音素が増えてきた。また、音声再生やイントネーションを伴った発話も有意に増加することがわかった。さらにこうした、発話行動は、手指の併用によって妨げられるものではなく、話しことばのシステムが確立していない時には、手指により意味概念の伝達がなされ、相互補完的に作用しているものと思われた。しかし、この結果は、本来の1/3しか機能していない人工内耳を使用している幼児でのデータでの結果であり、全てが機能している人工内耳装用児の場合には、更に聴覚フィドバック系の確立が促進され、次第にその子にとって確実にフィードバックできるモードへと移行していくことが観察された。このことは、最重度の子供達の場合、意味概念の習得が先行することの必要性と話しことばへのシステムへの移行には、十分な聴覚フィードバックの可能な補聴システム(周波数圧縮変換型補聴器の適用やFM補聴器のフィッティングにおけるイコールゲインの考え方の導入など)が必要性を示唆していると考えられた。今後、コミュニケーションストラテジーの変化を加えて更に実証していく必要がある。
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[Publications] 高橋信雄、高橋眞由美: "周波数圧縮変換型補聴器(Impact)の適用と評価"Audiology Japan. 42・5. 457-458 (1999)
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[Publications] 高橋信雄、清水久美子: "通常学校における難聴児への授業援助"日本特殊教育学会第37回大会発表論文集. 314 (1999)
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[Publications] 高橋信雄、佐伯智子: "FM補聴器の設定と効果の検討"日本特殊教育学会第37回大会発表論文集. 319 (1999)
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[Publications] 高橋信雄、松川雅一: "人工内耳に対する装用者の意識"日本特殊教育学会第37回大会発表論文集. 320 (1999)
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[Publications] 射場恵、高橋信雄: "人工内耳装用児のリハビリテーション"愛媛大学教育学部障害児教育研究室紀要. 22. 115-121 (1999)
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[Publications] 高橋信雄、佐伯智子: "蝸牛が骨化した幼児への人工内耳の適用"音声言語医学. 41・1. 51-52 (2000)