1999 Fiscal Year Annual Research Report
学級崩壊への予防的治療と危機介入に関する臨床教育学的研究
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11610281
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Research Institution | Hiroshima Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
庄井 良信 広島女子大学, 生活科学部, 助教授 (00206260)
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Keywords | 学級崩壊 / 授業崩壊 / 予防的治療 / 危機介入 / 活動理論 / 臨床教育学 / ケースカンファレンス / スクールソーシャルワーク |
Research Abstract |
今年度(第一年次)の研究では、潜在急発型の問題群のなかで今日もっとも相談研究が急増し、かつ社会的要請も高い学級経営の攪乱現象(disturbance)-「学級崩壊」(授業崩壊も含む)-に焦点を限定し、こうした潜在急発型の問題群への予防的治療と危機介入に関する欧文・邦文研究データベース(社会学、心理学、精神医学関係文献を含む)を作成するとともに、実践的創造参画を伴う臨床的なフィールドワークを実施した。学級崩壊の要因分析に関しては、特別な配慮を要する児童(以下「対象児童」と略す)の問題行動の背景にある、社会文化的要因(マクロ要因)と心理的要因(ミクロ要因)が具体的な活動共同システム-複数の生活共同体や学習共同体が織り成す動的・生態学的なシステムの複合体系-の内部でどのように発露しているかを、文化-歴史学派活動理論に基づく臨床教育学的な視界から分析した。また、予防的治療及び危機介入に関しては、異種混交のポリフォニックな視点を、再交響化したケースカンファレンスを機軸に、(1).対象児童への治療教育的次元での援助(セラピストとの共同活動)、(2).対象児童への教育相談次元での援助(カウンセラーとの共同活動)、(3).対象児童への教育実践次元での援助(教師や保護者との共同活動)という三つの次元で展開した。これらの実践参画による共同研究の歩みそのものを、理論的にも総括するなかで、わが国におけるスクールソーシャルワーク理論の構築への萌芽が見えてきたことも大きな成果であった。
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[Publications] 庄井良信: "物語共同体としての授業ー"工場"としての成立から"工房"としての成立へ"『教育』(国土社)教育科学研究会編. 49・10. 15-23 (1999)
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[Publications] 庄井良信: "揺れる子どもたちの心象風景"『ちいさいなかま』(草土文化)全国保育団体連絡会編. 第389号. 70-75 (1999)
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[Publications] 庄井良信: "少子化時代のきょうだい"『ちいさいなかま』(草土文化)全国保育団体連絡会編. 第390号. 36-41 (2000)
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[Publications] 庄井良信: "学びの詩学-「物語共同体」としての学習集団をデザインする"『生活指導』(明治図書)全国生活指導研究協議会. 第551号. 61-68 (2000)
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[Publications] 庄井良信: "揺れる子どもたちの心象風景"新読書社. 115 (1999)
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[Publications] Y.Engestrom著.庄井他訳: "拡張による学習-活動理論からのアプローチ"新曜社. 370 (1999)