1999 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期中学校における「操行査定」の内容と方法に関する実証的研究
Project/Area Number |
11610284
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
斉藤 利彦 学習院大学, 文学部, 教授 (20178495)
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Keywords | 操行 / 操行査定 / 旧制中学校 / 成績 |
Research Abstract |
当初の計画通り、まず「操行査定」の原型となったと思われる、一八八七年八月六日付文部省訓令第一一号の「人物査定」をめぐる動向を対象とし、それが各府県でどのように実施されていったのか検討を進めた。例えば、富山県の「人物査定会規定」(一八八八年)、石川県の「学校生徒人物査定法標準」(一八八九年)等である。 これと並行して、各地の旧制中学校で独自に制定された「操行査定」に関する内規の調査・検討を行った。一例として、東京府尋常中学校「尋常中学校生徒操行検定規定」、岩手県立盛岡中学校「生徒操行調査標準要目」、新潟県立新発田中学校「操行規定」、大分県立杵築中学校「操行査定内規」、山口県立山口中学校「操行査定内規」等である。以上の内規に基づき、「操行査定」の基準や方法に関する異同や一定の原則の分析を試みた。例えば「標語法」や「点数法」といった査定の告知形態のあり方、あるいは、「操行協議会」「操行会議」「操行査定会議」といった、査定のための手続きの形態等に着目した。 その上で、実際の査定結果を示す「成績表」「成績簿」の調査・収集を行った。例えば、旧制富山中学校(現富山県立富山高校)、旧制金沢第一中学校(現石川県立金沢泉ヶ丘高校)、旧制高知第一中学校(現高知県立追手前高校)、旧制脇町中学校(現徳島県立脇町高校)に所蔵された史料である。 現在、こうしたこうした分析を行いつつ、「操行査定」の全体像、およびその困難性や現場での評価等への考察を進めている。
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