1999 Fiscal Year Annual Research Report
フランス国民教育制度成立期における教育法紛争の研究
Project/Area Number |
11610294
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
高津 芳則 大阪経済大学, 経済学部, 助教授 (90206772)
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Keywords | フランス / 教科書 / 教育裁判 |
Research Abstract |
教科書問題として争われた次の教育紛争の検討をおこなった。 1、問題/3人の子ども、Marguerite Chapuis,Paul Porteret,Maxime Pichon,は、それぞれコード・ドールの公立初等学校に登録していたが、1909年の年末、彼らの親の命令によって、学校で用いられている歴史教科書の使用を拒否した。彼らは、この拒否を理由として、懲戒処分(peines disciplinaires)をうけた。 それぞれの親は、コンセイユ・デタに対して、一時的停学を彼らの子どもに科した諸決定を、越権であるとして訴えた。Porteretの父親は、さらに、必要な限りにおいて、コート・ドール県の公立初等学校で使用することを承認した教科書リストの承認に関するディジョン大学区総長の決定無効を要求した。 2、判決/コンセイユ・デタは、法制度の運用に問題はなかったという門前払いの判決を下している(1911年)。教育固有の論理は、まったく判決に採用されていない。 3、課題/教育制度の整備過程の問題でもあり、法制度の運用過程には、参加という観点や中立性の観点から問題がうかがえる。それにもかかわらずコンセイユ・デタは、違法性なしという強引な論理を展開する。その他の教育裁判を検討することで、その後の立法動向の背景を明らかにすることができる。
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