2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610319
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高谷 紀夫 広島大学, 総合科学部, 教授 (70154789)
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Keywords | ミャンマー / 国民文化 / 文化人類学 / 少数民族 / 民族間関係 / シャン |
Research Abstract |
現ミャンマー政府による「国民文化形成」政策は、1990年代に入って、周辺諸国との文化交流が活発となりボーダーレス化が進行する状況の中で具体化してきた。多民族国家ミャンマーの国民文化が、どのように選択され、保存され、あるいは創出されていくかの過程について、平成13年度は、平成11-12年度に続き「ビルマ文化中心主義と地方文化・少数民族文化」のテーマに関して、受け入れ機関である大学歴史研究センターの研究者の援助を得て、資料蓄積を行った。具体的には2001年12月から2002年1月にミャンマーを訪問し、非ビルマ族の中でも最多の人口を擁し、政治的にも文化的にもビルマ化の影響を受けてきた少数民族シャン族の文化的状況について、北部シャン州を中心にフィールドワークを実施すると同時に、三カ年計画の本研究の成果を2001年12月に大学歴史研究センターが主催した国際会議「Texts and Contexts in Southeast Asia」で発表を行った。その論文は来年度同国で出版の予定である。その論究の骨子は次の通りである。 シャン族は、現政府によるビルマ文化中心主義の流れを認識しながら、その許容範囲内で伝統文化の保存に努力してきている。特にシャン文字の普及に積極的である。その活動の動態は北部シャン州の主な町、さらには隣国タイ王国の国境近くの村で開催される「ポイ・クーモー・タイ(シャン文芸功労者の日)」に象徴的に表れている。この祭日はシャン州各地のシャン伝統文芸文化保存委員会によって1970年代から始まったものだが、1990年代に入ってより積極的な活動に展開している。また昨年度も確認したが、情報ツールの普及に伴って、国境を越えた文化活動のネットワークが機能し始めている。シャン族の、ミャンマー国民としてかつ少数民族としての二重のアイデンティティが、多民族国家ミャンマーでこれからどのように展開するかが注目される。同様な事例は多くの多民族国家にも認められ、今回得た知見の応用が期待される。
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