2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610323
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
徳丸 亞木 鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (90241752)
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Keywords | 地神盲僧 / 地神派盲僧 / 森神 / 屋敷神 / 玄清部 / 本寺獲得運動 / 地神祭 |
Research Abstract |
本年度は、1).防長地神盲僧と筑前玄清部天台宗成就院盲僧に関する文書資料(「地神派盲僧復旧願」など)の解析、2).かつて地神盲僧が活発に活動を行っていた山口県豊浦郡豊浦町におけるフィールドワークを通じた、地神盲僧宗教活動の再構成、3).山口県阿武郡川上村など萩市近郊の農村において撮影をなしえた地神盲僧祭祀儀礼の編集などを中心として研究を進めた。 1)に関しては、山口県豊浦郡豊浦町において活動していた地神盲僧の遺品から、明治期の本寺獲得運動に際して編まれたと思われる文書を発掘し、解析作業を進めた。その結果、藩政期においても玄清部や当道座など異なる立場を維持していた防長の地神盲僧が、明治期の本寺獲得運動に際して、単純に玄清部への併合を認めるのではなく、地域の霊山である狗留尊山修禅寺を本寺となし、自らを「地神派盲僧」と標する事により、玄清部とは異なる、その独自のアイデンティティを主張しようとしていた点などを明らかになしえた。 2)に関しては、主に豊浦郡豊浦町での聞き書き調査により、当地域で昭和50年代まで活動していた地神盲僧の宗教活動の詳細を記録し、さらに地神盲僧が地域の屋敷神や森神などの民俗神や、住民の宗教的世界観へいかなる影響を与えていたかについても資料蓄積と考察を進めた。 3)に関しては、山口県阿武郡川上村で行われた地神祭のデジタルビデオによる映像記録を編集し、最終報告書に添付できる形とした(報告書への添付はDVDフォーマットで行う)。 来年度は、主に薩摩盲僧についての文書資料収集、フィールドワークを中心に研究を進め、最終的な報告書の刊行を行う予定である。
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