2000 Fiscal Year Annual Research Report
南西諸島域における生態系の持続的利用の構造と平等原理の機能について
Project/Area Number |
11610332
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
寺嶋 秀明 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10135098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 徹 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 教授 (80068915)
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Keywords | 生業 / 生態システム / 環境利用 / 持続的利用 / 平等性 / 久高島 / 南西諸島 / 社会的慣行 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地域コミュニティーによる自然生態系の持続的利用システムの実態の解明と、そのシステムにおける平等ならびに不平等原理の作用の仕組みについて、生態人類学および環境民俗学の視点からアプローチすることである。昨年度に引きつづき、今年度も、南西諸島のさまざまな生業システムに関する文献ならびに既存資料の収集・整理・分析をすすめた。一方、沖縄県八重山郡石垣島ならびに島尻郡知念村久高島にて、あらたに、生業システムにかんする聞き込みと直接観察を主体とした現地調査をおこなった。 知念村久高島では、旧暦3月3日の「浜降り」の行事とその後の海浜採集活動の実態を観察し、関係者にインタビューをおこなった。リーフの上の採集活動は、古来から重要な生業活動としておこなわれてきたが、経済的事情が大きく変化し、また採集者の高齢化が進展している今日、その内容もおおきく変容しつつある。緊急にデータを収集する必要がある。また、久高島では地名の収集をおこない、およそ200近くの地名とその場所の確認をおこなった。これらの地名は、自然生態系と人間の諸活動との接点を示すものが多く、それらの分析により、離島社会の世界観の一端を明らかにすることができた。 また、比較研究の視点から、台湾の原住民族の生業システムと文化的象徴とのかかわりについて、資料の収集・整理と分析をおこなった。また、海南島の生態学的調査については、文献およびこれまで得られた資料の整理・分析をおこない、とくにリー族の土地利用の諸慣行について調べ、中国の村落社会が内包する問題について検討をおこなった。また現地調査によるあらたな知見も加えることができた。
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Research Products
(2 results)