2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本中世村落の空間構造および村境儀礼の比較史的研究
Project/Area Number |
11610349
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Research Institution | University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
水野 章二 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教授 (40190649)
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Keywords | 伝統的村落景観 / 台湾少数民族 / 村境 / 山門領荘園 / 木津荘 / 検注帳 / 饗庭昌威氏所蔵文書 |
Research Abstract |
(1)現地調査 台湾には中国本土とは異なり、独特の少数民族文化が遺されており、戦前の日本の植民地支配にともなう調査報告も利用しやすく、沖縄などとの共通性も多く見られる。台北の少数民族博物館や烏来のタイヤル族の伝統的村落などの調査を行い、村の門の痕跡など、日本と共通し、しかも漢族村落などには少ない村境の装置・儀礼などに関する史料収集を行った。また近江湖西の山門領木津荘域(現新旭町)のうち、昨年・一昨年に引き続き、針江・深溝・霜降・山形4地区の現況謂査を実施し、3年間で荘域全体12地区の調査を完了した。木津荘は若狭と京都を結ぶ水陸交通の結節点であり、山門の最重要荘園・港津であったが、圃場整備の結果、伝統的村落景観は消滅している。古老からの聞き取り調査などを通じて、圃場整備前の田地一筆レベルの俗称地名・水利、農業・用水慣行、葬・墓制などを地図やカードに記録するとともに、特に湖岸の環境変化に着目して、復原研究を進めた。 (2)史料調査・収集 山門領木津荘に関わる新旭町の饗庭昌威氏所蔵文書のデータ・ベース化を進め、室町初期の膨大な情報量を有する木津荘検注帳・木津荘引田帳のデータ入力を完了した。山門領荘園は焼き討ちなどのため関係史料が乏しく、その重要性にも関わらず研究が遅れていたが、今回の調査により、典型的な山門膝下領荘園の実態を文書および現地調査の両方から明らかにすることが可能となった。 このように荘園文書などから日本中世村落の空間構造に関する復原的研究を進めるとともに、沖縄・韓国・中国・台湾の村落に関する歴史・民俗関係文献を蒐集し、その特質や共通性と差違性の検討を進めた。
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Research Products
(2 results)