2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610375
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菅谷 成子 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (90202126)
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Keywords | フィリピン / 華僑華人 / 中国系メスティーソ / マニラ / 東南アジア近世 / 中国人移民 |
Research Abstract |
本年度は、3年計画の最終年度ということで、過去に収集した史料の解読・分析作業を引き続き行った。なかでも18世紀末葉のバスコ総督の産業振興策の下で、再びマニラに成立した中国人移民社会の実態を明らかにする過程で、特に中国人移民のカトリシズム受容の意味を検討した。さらに、18世紀は東南アジア史において「華僑・華人の世紀」とも称せられるが、これまでの研究によって蓄積した知見を踏まえて、当時のマニラの中国人移民社会を、同時代の東南アジア島嶼部各地における中国人移民社会成立の文脈に位置づけ、その特徴を抽出する試みを行った。それらの成果は、「島嶼部「華僑社会」の成立」(桜井由躬雄編「東南アジア近世国家群の展開」[岩波講座東南アジア史4]、岩波書店、2001年9月)。および2001年9月に中国厦門大学で開催された「21世紀初的東南亜経済与政治」国際学術研討会において"The Life of Chinese Immigrants in Late Eighteenth Century Manila"として報告した。また、スペイン植民地都市マニラにおいては、中国移民およびその社会が外世界(文明)と内世界を取り結ぶ結節としての機能を果たしていた。そこで、マニラの中国人移民社会が、スペイン領フィリピンの成立という世界史的文脈に照らして、いかなる存在意義を有したのかを検討した。その成果の一部は、「スペイン領フィリピンの成立」(石井米雄編「東南アジア近世の成立」[岩波講座東南アジア史3]、岩波書店、2001年8月)として発表した。
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Research Products
(2 results)