1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610378
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Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
松木 民雄 北海道東海大学, 教育開発研究センター, 教授 (50125655)
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Keywords | 分業 / 士農工商 / 農 / 庶人 / 春秋時代 |
Research Abstract |
研究課題「中国古代における社会分業の諸相」関して、平成11年の研究の実施については、その史料調査として東洋文庫における収集をふまえ、また中国での実地調査及び史料の確認について北京図書館等で善本史料を実見することが出来、一定の成果を収めることができた。 これらに依拠して今年度の研究計画として挙げた「春秋時代の農と庶人の研究」を進めたことにより、論稿として「春秋期における農と庶人」の完成を見た。その結論部分の大略を次に示す。 即ち、春秋時代あるいは周代をも含めて、庶人は農耕者を示す場合もあり、商工業者を含むこともあったが、殊に特色的なことは在官者も庶人と称されていたことである。庶人の中には在官者と非在官者があったことになる。これに対して戦国期以降では庶人には在官の者を含む意味はなくなり、農工商など単に平民を示す用法となる。ということは庶人が非在官であり、士以上の大夫・卿などとの区別が明確化し、延いては士大夫と庶人の相違が判然化したことを意味するものである。春秋期においては庶人は士・工・商と対照して使われることが多見され、身分あるいは職業の対応にも様々な可変性のあることが推測されるが、それについては後察を待つこととし、本稿では農耕者層が春秋期において「農」のほかに「庶人」とも称され、その一方で庶人は役人に仕官した者が含まれることもあったことが判明されるに至ったことに以って結論の大略とする。 以上が本年度の研究実績の概要である。 尚、成果の公表に関しては、論文題目「春秋期における農と庶人」として、原稿は既に完成しており、多少の調整を加えて次年度に発表の予定である。
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