2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610379
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
谷口 満 東北学院大学, 文学部, 教授 (10113672)
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Keywords | 江陵紀南城 / 丹陽三峡説 / 巴楚関係 / 圜底釜 / 聨襠鬲 / 紀南城漢水水路 / 潜江龍湾遺跡 / 戦国楚簡所見地名 |
Research Abstract |
先秦楚国の都城郢都は,春秋前期から戦国晩期(B.C278年)まで一貫して江陵紀南城であったことを論証した,昨年度の研究成果を踏まえて,本年度は次のような研究を実施した.(1)郢都の前の都城である,西周時代の丹陽の位置についての諸説を考古学的資料によって検討し,春秋以降の楚文化の様相との関連からして,湖北省西部三峡説がもっとも妥当であるとの結論を得た.(2)湖北省西部・湖南省西北部の殷〜春秋時代の文化様相を,土器文化を中心に考察し,園底釜と聯襠鬲を独有器とする,独自の民族と文化が展開していたことを明らかにした.そして,その民族とはいわゆる巴系の民族であり,楚国の形成において彼らが主体的な役割を果たし,前期楚国の主要な構成員の一つとなったことも明らかにした.(3)湖北省の江陵・宜昌・三峡地区,湖南省の〓水流域・〓江流域で現地調査と資料収集を実施し,(1)・(2)の所論を補強した.(4)湖北省の荊州地区・潜江地区で宮殿遺跡・水路遺跡などの調査を実施し,各地宮殿遺跡の配置状況・水路網の配置状況と郢都紀南城との位置関係を考察した.(5)戦国楚簡を初めとする戦国楚国出土文字資料の収集と整理を継続して実施し,それらに見える楚国地名と秦漢時代南郡郡域の地名を照合して,いくつかの地名についてその位置を決定した.(6)漢水東部地区の先秦遺跡・遺物に関する資料を収集・整理し,楚国形成過程におけるこの地域の民族的・政治的動向を考察した.(7)楚国滅亡後の各構成民族の動向を追跡するため,青銅器・漆器をはじめとする遺物資料,碑刻文をはじめとする文字資料を収集・整理した.(5)・(6)・(7)については,来年度も研究を継続し,新しい学説を提示する予定である.
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Research Products
(2 results)