1999 Fiscal Year Annual Research Report
中華民国時期の国家-地域社会間関係の構造と動態に関する史的研究
Project/Area Number |
11610385
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College |
Principal Investigator |
笹川 裕史 東京都立短期大学, 文化国際学科, 助教授 (10196149)
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Keywords | 日中戦争 / 戦時地税行政 / 戦時糧食行政 / 江蘇省 / 戦後の再建 / 地域社会 / 各級民意機関 / 請願活動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、主として中華民国時期の農村土地行政の実態を把握する作業を通じて、同時期の国家-地域社会間関係の構造と動態を明らかにすることにあった。本年度における主な研究実績は、以下の2点である。第1点は、日中戦争時期から戦後にかけての中国国民政府による戦時地税・糧食行政の変遷をたどるとともに、これを受け止める地域社会の動向を、各級民意機関による請願活動を中心に全般的に描き出したことである。その内容は、台湾にて開催された1949年革命をめぐる国際シンポジウム(中国近代史学会主催、1999年12月9日・10日)における口頭報告(「戦後国民政府の地税行政と地域社会-地税負担をめぐる請願活動をめぐって-」)に盛り込んだ。これは本研究全体の中間報告の一つとして重要な位置を占める。また、シンポジウムに参加した際、台湾の研究者と有意義な意見交換を行うとともに、若干の史料調査・収集も行った。これらは今後の研究に生かされることになろう。第2点は、戦後において日本の支配から脱した江蘇省に地域を限定して、そこにおける国民政府の地方統治再建の試みと農村社会の諸利害とがぶつかりあい、相互に規定しあう現場を実証的に発掘したことである。その内容は、日中戦争が戦後国民政府の地方統治にもたらした負の遺産を解明する視角から、「戦後国民政府の江蘇省農村土地行政」という論文にまとめ、公表した(「ll.研究発表」欄を参照)。これは本研究を構成する個別実証研究の一つであり、また、論文を執筆した際には、本研究費で購入した関連地域の地方新聞類を有効に利用した。
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Research Products
(1 results)