2001 Fiscal Year Annual Research Report
中華民国時期の国家―地域社会間関係の構造と動態に関する史的研究
Project/Area Number |
11610385
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
笹川 裕史 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (10196149)
|
Keywords | 中華民国時期 / 農村土地行政 / 国家-地域社会間関係 / 王朝国家 / 北京政府 / 国民政府 / 日中戦争 / 戦時地税行政 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は、以下の3点にまとめることができる。第1点は、本年度は本研究期間の最終年度にあたり、過去3年間の研究の進展を踏まえて、研究成果をとりまとめたことである。その内容は、年度末に提出する冊子体の「研究成果報告書」に示されている。そこでは、本研究期間中に行った個別実証研究を適宜盛り込むとともに、中華民国時期における農村土地行政の実態分析を通じて浮かび上がる国家-地域社会間関係の構造とその動態を概括的に提示した。王朝国家から引き継いだ粗放な農村把握の実態、その改善を目指した北京政府や国民政府の努力とその成果、これに伴う政府内部の対立や地域社会の既存秩序に与えた変容と矛盾、日中戦争の影響とそれによる矛盾の拡大、戦後の再建とそれが直面した困難など、論点は多岐に亘っている。第2点は、過去2年間の作業、とりわけ日中戦争から戦後にかけての時期の分析を史料的に補足するために、中華人民共和国の南京を訪問し、中華民国時期の政府文書を豊富に所蔵している中国第二歴史〓案館で史料調査・収集を行ったことである。これによって、本研究を支える論点を補強することができただけではなく、本研究を基礎とした今後の新たな研究の可能性についても一定の見通しを得ることができた。第3点は、本研究の一環として2年前に台湾の国際シンポジウムで行った口頭報告(平成11年度の本研究実績報告書を参照)の一部を「地税行政と請願活動」という論文として国内で公刊したことである(「11.研究発表」欄を参照)。戦時地税行政が各地にもたらした諸問題を地域社会からの請願書を素材に描き出した本論文が、本研究において重要な位置を占めることはいうまでもない。
|
Research Products
(1 results)