2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610391
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南川 高志 京都大学, 文学研究科, 教授 (40174099)
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Keywords | 属州 / ブリタンニア / ゲルマニア / ローマ帝国 / ローマ化 / 都市化 / ラテン語 / 碑文史料 |
Research Abstract |
本年度は、オックスフォード大学のA・ボウマン博士からウィンドランダ文書の利用法についてアドヴァイスを得たことを契機に、この史料群に対する理解を深めることにまず努力した。葉書大の薄い木片にインクで書かれたラテン語の手紙やメモ類からなるウィンドランダ文書は、1973年の発見以来、現在に至るまで約2000点出土しており、ボウマン博士らによって解読され、テキストとして刊行されつつある。ボウマン博士はこれをリテラシーの問題を考える材料として利用しているが、私は属州ブリタンニア史の研究史料として積極的に利用したいと考えている。出土場所から見て、ハドリアヌスの長城の意義を考える際に有効であると期待し、分析をおこなっている。属州ブリタンニアについては、このほかに、平成12年夏の渡欧で、ケンブリッジ大学の研究者の協力を得て遺跡や遺物の調査が出来たことも成果であった。 一方、属州ゲルマニアに関しては、夏の調査旅行で、その南部に当たる地域の遺跡や博物館を訪ねることで大きな収穫があった。現在のドイツだけでなく、スイスのアヴァンシュやニヨンの遺跡や博物館を調査し、帝国の中核であるイタリアと辺境属州ゲルマニアとのつながりを遺物から確認したこと、「ローマ化」といわれる現象の多様性を発見したことが今後の研究の進展につながる特記すべき成果である。 なお、当初の計画では英文の中間報告を作成する予定であったが、考古学研究の成果を充分取り入れるためには夏のヨーロッパ滞在時間が短すぎて実現できず、次年度に再渡欧した上で試みる予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 南川高志: "西洋古典学と古代史研究"西洋古典叢書月報. 19. 5-6 (2000)
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[Publications] 南川高志: "西洋古代史研究と二十一世紀"西洋古典叢書月報. 20. 5-6 (2000)
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[Publications] 南川高志: "西洋古典学と古代の再現"西洋古典叢書月報. 21. 5-6 (2000)
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[Publications] 南川高志: "古代ローマの家族と女性"G・デェビーM.ペロー 編『女の歴史』(古代2)藤原書店所収. (2001)