1999 Fiscal Year Annual Research Report
近世期フランスの王権と「歴史」叙述-17世紀フランスの歴史研究と『フランス史』編纂事業-
Project/Area Number |
11610394
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
阿河 雄二郎 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (80030188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 修一 大阪外国語大学, 外国語学部, 講師 (80294172)
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Keywords | 歴史叙述 / 国民意識 / 起源神話 |
Research Abstract |
近世フランスの『歴史書』の研究は、当時の「国民」意識を知るうえで恰好の素材であるが、これまで十分な研究がなされてこなかった。研究代表者(阿河)は、8月に東大と早大の図書館、12月に慶大の図書館で文献史料の所蔵状況を調査したが、あまり芳しい成果はえられなかった。それでも、東京の諸大学のフランス近世史研究者(とくに早大の森原助教授、慶大の宮崎教授)と会い、この問題に関する情報や意見を交換できたのは収穫である。また、幸いなことに、フランスの書店より、デユ・ティエや、ド・ラ・ロックの古書を購入することができた。最終的に、代表者は、この3月後半にパリの国立図書館と学士院図書館(マザラン図書館)に赴いて、当時の著名な歴史家であるデュプレクス、メズレーらの『フランス史』を講読する予定である。あわせて、当図書館でこうした史料のマイクロフィルム化を依頼したい。代表者は、17世紀に、通史としての『フランス史』がどうして多く出版されたのかを解明したいと思っている。一方、ドイツ近現代史を専攻する研究分担者(進藤)は、ドイツ語圏における歴史叙述の諸問題の検討のために、束京大学、一橋大学、明治大学で史料調査を実施した。その結果として、一次史料を数多く収集・整理・翻訳できたのは大きな成果である。と同時に、ドイツを基軸に、近代ヨーロツパにおける歴史研究と歴史叙述者の主体性について考察を深めることができた。研究代表者、研究分担者ともに、こうした初年度の成果を次年度の研究に生かしてゆきたい。
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Research Products
(1 results)