2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610395
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
芝井 規子 (山辺 規子) 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (00174772)
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Keywords | 中世イタリア / 中世ヨーロッパ都市 / 都市支配者層 / コムーネ / ポデスタ / 移動 / 共有空間 |
Research Abstract |
本年度は、まず、前年度のうちに発注しながら入手しえなかった文献を入手、整理するところから始めた。とはいえ、日本においてはなかなか入手することが難しい文献も多く、イタリア中近世史の研究者である信州大学教育学部教授の斉藤寛海氏と、個人的に文献について、あるいは研究の進め方についてアドバイス、ご協力を願うこととなった。 本年は、研究課題「中世中期イタリアにおける支配者層の諸相の比較研究」で、課題としたうち、国制史的観点からこれまで十分に考察していなかった北部の都市群について、都市群に共通する制度としてのポデスタ制に着目し、研究を進めた。 ポデスタ制とは、中世中期のイタリアの都市国家コムーネが内部の争いを収拾できなくなった際に、外部の適当な人物を呼んで、都市国家の最高位においた制度で、当初は当該コムーネの有力者の代表たるコンソリ制と併用していたが、やがて都市法の整備の中でさまざまな制限が加えられながら、最高のものとされるようになる。13世紀後半以降、新興勢力の代表とされるカピターノ・デル・ポポロがポデスタに並立されるようになるが、この職もまた、外部の者に与えられることが多い。ポデスタは、都市コムーネが一人の人間ないし一つの家に実質的統治権を認めるシニョリーア制が確立したのちも、都市法上は中世末期までずっとおかれる外国人を登用する最高ポストである。したがって、このポデスタ制の実態を考えることにより、各都市に共通する支配者像がみえてくると考えられる。現在は、北・中部イタリアのいくつかの都市について、具体的にポデスタ任官者リストを作成し、これを考察している段階であるが、すでにこの問題について平成12(2000)年11月3日京都大学西洋史読書会大会において「中世イタリアのポデスタ」と題して、報告をおこなった。次年度は、これをもとに研究をまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)