1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610396
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
加藤 克夫 島根大学, 法文学部, 助教授 (30284011)
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Keywords | 反ユダヤ主義 / ユダヤ人 / セファルディー / アシュケナジー / フランス革命 / アンシアン・レジム / ナショナリズム |
Research Abstract |
1 近代フランスの反ユダヤ主義の背景にはユダヤ人の中央集権的ジャコバン型解放が深くかかわっているというのが、近年精力的にユダヤ人間題に取り組んでいる政治社会学者P.Bimbaumの所説である。そこで私は近代フランスの反ユダヤ主義を考える前提として、大革命時のユダヤ人解放にいたる解放論議を検討することにした。その結果は、昨年度末の「フランス革命前のユダヤ人解放論-『二つの解放の道』」(『立命館文学』第558号 1999年2月)、に引き続いて、今年度は、口頭発表「『異邦人』から『国民』へ-大革命とユダヤ人解放」(関西フランス研究会110回例会[1999年4月])と論考「『異邦人』から『国民』へ-大革命とユダヤ人解放」(服部・谷川編『フランス史からの問い』山川出版 2000年3月)として発表した。こうした考察を通じて、大革命前には、多元主義的解放の道と中央集権的解放の道の二つのユダヤ人解放論が存在し、前者が優勢であった(弛緩しつつあったとはいえ社団的国家編成原理を反映していた)のだが、大革命時のユダヤ人解放(1791)は、一切の差異を否定した中央集権的国民国家形成とあらゆるものの「再生」を志向する当時の政治文化を反映して、個としてのユダヤ教徒をフランスの国民(ナシオン)に統合するという中央集権的解放となったことを明らかにした。 2 こうした研究成果の発表と並行して、La Libre Paroleや Le Courrier de Provence等の反ユダヤ主義関係資料や文献の収集に努めたほか、La Libre Paroleの一部をコピーや一定の解読と整理、データ化の準備を行った。 3 この他、1999年夏には、フランスのセファルディーの足跡を訪ねてスペイン、フランス南西部、パリを旅する(私費)とともに、ジロンド県の県立文書館でボルドーのユダヤ人関係文書を閲覧し複写した。
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