2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610396
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
加藤 克夫 島根大学, 法文学部, 助教授 (30284011)
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Keywords | フランス / ユダヤ人 / 反ユダヤ主義 / 『ラ・リーブル・パロル』 / エドュアール・ドリュモン |
Research Abstract |
1 今年度は19世紀におけるユダヤ人をめぐる法的状況、ユダヤ人の社会移動や社会進出と「同化」の実態を検討した。その結果、(1)第一帝政期に、アルザスのユダヤ人に「恥辱法」が適用されるなど解放からの一定の揺り戻しがあると同時に、「長老会体制」が確立されてユダヤ教徒は初めて全国的な一元的宗教共同体に組織されたこと、(2)ユダヤ人はとりわけ第三共和政のもとで能力主義にもとづくリクルート制度を活用して国家中枢にも進出すると共に、共和国フランスと一体化を強めたこと(「フランコ・ユダイスム」)、(3)19世紀末の反ユダヤ主義台頭の背景の一つとして(2)の要素が介在すること、が明らかになった。 3 このことは、科研費報告書としてまとめる予定だが、「マイノリティと『公共圏』の砿大-19世紀ユダヤ系フランス人の『同化』と反ユダヤ主義」(「近代欧米における『個』と『共同性』の関係史の総合的研究」研究会[2001年])として口頭でも発表した。この他、P.ビルンボーム「ユダヤ人-グレゴワール、ドレフュス、ド・ランシー、コペルニック街」(ピエール・ノラ編「記憶の場-国民意識の文化=社会史 第一巻 対立』岩波書店[2002年春刊行予定]所収)の翻訳作業を行った。 4 また、Archives israelites(1840・1935)などの資料や二次文献を収集するとともに、昨年に引き続いて『ラ・リーブル・パロル』紙のデータ・ベース化の準備を進め、1892-1902年における一部記事の索引を作成し、報告書の一部として公表することにした。
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