2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610397
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安野 正明 広島大学, 総会科学部, 助教授 (80202365)
|
Keywords | ドイツ社会民主党 / 戦後ドイツ史 |
Research Abstract |
研究取りまとめの今年は、「戦後社会民主党(SPD)の転換期」とされる、1957年選挙敗北後の党改革実現過程を、1958年の党組織改革、1959年の基本綱領制定を中心に分析をした。 従来の研究では、党改革実現過程が詳細に実証されないまま、党改革を推進する「改革派」(Reformer)対党改革を阻害し停滞的指導を行っていた「党官僚」(Apparat)の対立構造が強調され、連邦議会議員団や地方の首長を中心とする「改革派」がオレンハウアー党首を頂点とする「党官僚」を打倒してゆく過程として党改革が理解されてきた。本研究では、補助金で収集した史料に基づいて詳細な実証研究を行うことにより、これまでの研究のような二項対立図式を克服した党改革実現過程の分析を行うことができた。 党内で強大な権力を行使していた専従党官僚を政治的に無力化した党常任幹事会(Parteiprasidium)の設置を核とする組織改革は、「改革派」が「党官僚」の頭目たるオレンハウアーを屈服させた結果というよりは、オレンハウアーと「改革派」の「対抗的協調関係」が形成されたことの結果であった。 そして党改革の頂点たるゴーデスベルク綱領は、「改革派」主導ではなく、オレンハウアーの強いイニシアティヴが発揮されて、定説で言われるような「党内コンセンサス形成」「民主的手続きを経ての合意形成の帰結」とは言いかねるやり方で制定されていたのである。 詳しい実証分析は昨年末に完成し、現在審査中の学位請求論文「戦後ドイツ社会民主党の党改革実現過程」に展開した。
|