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2002 Fiscal Year Annual Research Report

初期中世ポーランドの国家・社会構造-公の権利体制-の研究

Research Project

Project/Area Number 11610406
Research InstitutionWaseda University

Principal Investigator

井内 敏夫  早稲田大学, 文学部, 教授 (60120903)

Keywordsポーランド / 初期中世 / 公の権利体制 / 部族制 / 土地領主制 / インムニテート特権 / 騎士の権利 / カロル・モゼレフスキ
Research Abstract

本年度は研究期間の最後の年度になる。この4年間の研究で、ポーランドの初期中世、初期ピアスト朝国家の社会制度・国制に関し、文書史料にも当たりながら過去の研究文献の比較と整理を行うことができた。その結果、この研究課題に関する現在の最高の到達点は、多少の批判すべき箇所はあるものの、モゼレフスキの『初期ピアスト朝国家における農民』(1987)にあると結論するに至った。それゆえ、その論証過程を検証しながら辿れるほど詳細にこの著作をまとめることを目指した。モゼレフスキは、13世紀に大量に現れるインムニテート文書の分析を通じて、この13世紀に土地領主制が本格的に進行するのであって、それ以前の、ポーランドで統一国家が形成される10世紀から12世紀においては、農民は国家権力の直接支配、史料上の用語を用いれば、公の権利の下に置かれていたとする。しかも、この国家権力は基本的にはそれ以前の部族組織の属性を継承したものであり、一般自由民が持っていた土地への権利を始めとする根本的な権利や慣習を、自由民から出た農民に認め、これを保護せざるを得なかったと考える。国家はオポレと呼ばれる隣人共同体の協力を得なければ統治できなかったからである。とはいえ、国家権力は無論、部族組織の権力とは同一ではない。その差異は、地方行政機構という強制装置の配置と一般自由民の戦士層と農民層への分化とにある。換言すれば、国家成立の最大の契機の一つは、権力が住民の総動員に依拠しない独自の軍事力を持つことにある。戦士層に騎士の権利という特別の権利を与えて自前の軍事力を持ち、かつ部族が果たしていた公的機能を高めることによって、国家は農民に多大な給付と役務を要求することができ、やがて土地領主制を準備し得るほどに農民の国家への従属度を高めることができた。その土地領主制への旗振り役を果たしたのは教会であった。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Publications (2 results)

  • [Publications] 井内敏夫: "初期中世ポーランドの貢租「ナジャズ」について"ヨーロッパ史研究の新地平-ポーランドからのまなざし 中山昭吉、松川克彦編、昭和堂. 2-25 (2000)

  • [Publications] 井内敏夫: "初期中世ポーランドの運搬と交通奉仕義務:プシェヴドを中心に"早稲田大学大学院文学研究科紀要. 47-4. 3-21 (2002)

URL: 

Published: 2004-04-07   Modified: 2016-04-21  

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