2001 Fiscal Year Annual Research Report
両大戦間期フランス・ナショナリズムの研究―平和主義からファシズムへの偏流―
Project/Area Number |
11610407
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
剣持 久木 名城大学, 経営学部, 助教授 (60288503)
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Keywords | フランス・ファシズム / ティエリー・モーニエ / オットー・アベッツ / ナチズム / 平和主義 / ナショナリズム / ラロック大佐 / 青年右翼 |
Research Abstract |
平成13年度は、前年度に引き続き1930年度フランスの青年右翼運動の理論的指導者、ティエリー・モーニエについての研究を継続した。12年度以来研究を進めてきたモーニエと、同時代のラロック大佐の運動を比較した研究は、1930年代の日本も含めたファシズム論全般の中での位置づけも試みた論考として、13年10月に上梓した。また、同時に30年代のモーニエらフランス・ナショナリズムの仮想敵であったドイツ側の動向の研究もすすめた。とりわけ、30年代前半には敵対的であったドイツイメージが30年代後半に劇的に変化し、宥和的になるに際しては、ナチスドイツの官僚で、20年代末以来の青年運動家のオットー・アベッツの動向が注目される。つまり、これまではアベッツは親仏的イメージが強く、フランス側のパートナーとしては、20年代以来の平和主義者たちのみが注目されてきたが、30年代後半に注目すると、実はモーニエらナショナリストとの交流がはっきり跡付けることが可能なのである。とりわけ、ファシズムあるいはナチズムの肯定的イメージを、それまで反独的ナショナリストであったモーニエらが獲得するには、アベッツの果たした役割は無視することはできない。アベッツについては13年春に関係史料の閲覧申請を行っていたが、これまで未公開であった、1945年秋にフランス内務省が実施したアベッツ尋問調書の閲覧の特別許可を得ることができた。13年8月に渡仏し、のべ10日分、合計数百ページにも及ぶ尋問証書をすべて閲覧した。同尋問調書研究の中間報告については、14年度はじめに刊行される予定の名城大学総合研究所紀要掲載されることになっている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 剣持久木: "ナチスドイツとフランス1930年代-オットー・アベッツ尋問調書の研究-"名城大学総合研究所紀要. 7号. (2002)
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[Publications] 黒沢文貴, 斉藤聖二, 櫻井良樹: "国際環境の中の近代日本"芙蓉書房出版. 408 (2001)