2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610416
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小畑 弘己 熊本大学, 文学部, 助教授 (80274679)
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Keywords | 東シベリア / 極東 / 移行期 / 出現期土器 / 旧石器 / 新石器 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であり、研究の総括を実施した。 1.これまで、収集した資料をもとに、埋葬址、植刃器、漁撈具、石器などのデータベースを追加整備した。植刃器は、旧石器時代106点、中石器時代48点、新石器・青銅器時代127点の総数281点である。遺跡数は旧石器時代25ヶ所、中石器時代15ヶ所、新石器・青銅器時代41ヶ所である。漁撈具は、釣針が中石器時代〜初期青銅器時代にかけての出土遺跡70箇所、銛頭・ヤスが78遺跡、石斧はプリアンガラを中心として151箇所、埋葬址は717基を集成した。このデータは報告書にて添付している。 2.完新世移行期のシベリア地域はバイオームの違いにより、東シベリア地域と極東地域に分けられ、わが国の縄文文化との共通性があるのは、極東地域であり、これまでいわれたような東シベリア地域とは文化的関連は認められなかった。これら地域での新石器化は森林化の度合いによってその時期が異なり、シベリア全体をみるとモザイク的な様相を示す。同じ狩猟・漁撈を基盤としながらも、本格的な(半)定住的生活が認められるのは極東地域のみであり、時期的には完新世の最好適期(オプティマム)を前後する頃である。 3.これらの内容については先年まとめた『シベリア先史考古学』の第5章を中心に記述しているが、本年度はそこで触れることのできなかった、極東地域の最新の調査研究の成果をもとに、沿海州・アムール流域の更新世末〜完新世初期の石器群、および遺跡の再検討、出現期土器の問題について考察した。 4.以上をもとに、報告書を作成した。報告書にはデータベース資料および昨年度取材した極東地域の該当期の遺物写真を収録した。
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