2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610421
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Research Institution | IWAKI JUNIOR COLLEGE |
Principal Investigator |
北澤 京美 (山崎 京美) いわき短期大学, 幼児教育科, 助教授 (60221652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 秀紀 国立科学博物館, 動物研究部, 研究官 (30249908)
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Keywords | 縄文時代 / イノシシ / 島嶼化問題 / 北海道 / 伊豆諸島 / 骨計測学的研究 / LSI法 / mtDNA分析 |
Research Abstract |
今年度の考古学的研究は昨年度に引き続き島嶼部として北海道、伊豆諸島(利島)について調査を行い、前者では出土地がさらに増加し、道南・道央・道東と広範囲に分布し、なおかつより古い時期から出土することが判明した。後者では戦前の発掘資料を追跡調査したが、、遺存体は保存されていないことがわかった。一方、これら島嶼部イノシシと対比するため本州側5県の19遺跡において同様の調査を実施した。なお、当初計画では島嶼部として佐渡も含めていたが、他研究グループがすでに調査を着手していたため本研究では除外した。また動物学的研究では猟師等から全身骨格5個体を含む宮城・千葉・静岡・福井県産イノシシを収集・骨格標本の作製・計測を行い、さらにイノシシの生態学的研究について専門研究者から情報の収集を行った。 以上のような研究を基に、LSI(Long Size Index)法により現生イノシシと伊豆諸島と本州間の遺跡イノシシの形態差を評価した。その結果、本州側は現生と同大か大形になるのに対し、伊豆諸島では大部分が小形化し、その傾向は南の八丈島になるほど顕著であることがわかった。また、北海道資料はまだLSI法を行っていないが、肉眼的には本州より大形個体も存在することを把握した。この事実は伊豆諸島では縄文前期以前より島嶼隔離効果により小形化した可能性があるが、北海道では小形化していないと推定された。さらに考古学的研究の他に、遺伝子分析を専門家に依頼した結果、mtDNAでは伊豆諸島と北海道のイノシシはニホンイノシシに属するとされた。これらのことから、伊豆諸島及び北海道ではイノシシ運搬説を支持する証拠が多く、それがかなり古い段階から行われたと考えられた。しかし、イノシシの外部形態に関するデータは今回ようやく整備されたところであり、今後もより多くの計測データを収集した上で、島嶼部のイノシシを評価する必要性が考えられた。
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Research Products
(1 results)