2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610422
|
Research Institution | Independent Administrative Institution National Research Institute for Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
川越 俊一 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部・考古第二室長 (20090376)
|
Keywords | 東アジア / 砲弾形ガラス坩堝 / 勾玉用鋳型 / 小玉用鋳型 / 鉛ガラス / アルカリガラス / カリガラス / ソーダ石灰ガラス |
Research Abstract |
この研究は、古代東アジアにおけるガラス生産の技術体系を、原料、生産用具、製品の側面から総合的に把握することを目的としている。今年度は最終年度にあたるため、生産用具である砲弾形ガラス坩坩堝およびガラス小玉鋳型類の追加資料を整理するとともに、ガラス製品については日本および韓国出士資料について整理を続行した。さらにガラス生産と密接に関連する鉛釉陶器についての韓国出土資料を収集するともに韓国語論文のガラス・鉛釉陶器関係論文30編について翻訳した。 韓国出士のガラスを比較した場合、製品の使用開始年代、製品の種類、使用ガラスの種類の変遷等については、極めて共通性の高いこと、そして、日本国内でのガラス生産は、朝鮮半島の百済や新羅の影響のもとに展開したものと今年度までの研究で予測していた。今回新たに行った鉛ガラスを用いた鉛釉陶器の分析結果では、鉛釉はまず瓦などの器物に用いられ、その後容器に応用される特徴があり、その傾向は日韓両国で共通していることが判明した。以上のように、古代日本におけるガラス生産技術は6世紀末から7世紀に朝鮮半島から直接もたらされたものと推定される。しかし日韓両国にみられる技術の源流は中国にあるものと想定される為、今後なんらかの形で研究を継続し、中国大陸出土のガラス製品およびガラス生産用具、鉛釉陶器関連の資料収集を行い古代東アジアにおけるガラス生産の技術体系を明らかにしていきたい。
|
Research Products
(1 results)