2000 Fiscal Year Annual Research Report
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11610429
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
林部 均 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第一課, 主任研究員 (70250371)
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Keywords | 都市機能 / 都市の要件 / 条坊 / 平城京 / 平城京の宅地 / 宅地利用 / 都市問題 / 都市の比較 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に継続して、藤原京・平城京の条坊にかかわるデータの収集をおこなった。また、平城京の条坊側溝について、都市機能の問題とかかわって、その埋まり方に検討を加えた。その結果、平城京が機能しているにもかかわらず、ある段階に、条坊が埋まるという現象が確認できた。この背景には、様々な要因を想定しなくてはならないが、都城制のなかで極めて重要な指標である条坊が、都がなお存続しているにもかかわらず、なぜ埋まるのかという大きな課題を提起した。 また、平城京の宅地、具体的には、建物配置を検討した。そして、なぜ、建物配置の変更がおこなわれるのかという視点のもと、建物配置の変遷について、具体的な調査例を整理した。その結果、建物配置の変遷には、いくつかのパターンがあり、それぞれにおいて、建物配置が変わる背景が異なる見通しをもった。ただ、この分析を進める過程で、建物配置を検討する基礎となる各建物の所属年代の決定、ならびに建物群としての設定が、極めてあいまいに進められていることがわかった。建物群の設定とその変遷の検討は、発掘調査のデータをいかに解析していくのかという方法論の確立が必要なことを痛感した。 本年度も、具体的な考古学の資料である遺構、遺物のどういった面に、都市の要件があらわれるのかを検討した。そこで、古代から中・近世都市の発掘調査の成果と比較検討した。具体的には、大宰府、多賀城、平泉、草戸千軒、大坂、江戸、仙台城下町と比較を試みた。 都市で発生する社会問題にかかわる研究論文のデータベースを作成すべく、文献収集をはじめた。 これまで二カ年の研究で、飛鳥・藤原京、平城京の発掘調査のデータは、かなり収集できた。ただ、それをどのように分析していくのかという方法論に課題を残している。
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Research Products
(2 results)