2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610435
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
江端 義夫 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10033705)
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Keywords | あいさつ / あいさつ表現 / 儀礼 / 方言地図 / 方言地理学 / 地理言語学 / 方言 / 民俗 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は次の三つに大別される。 1.昨年までに収集し終えた「全国あいさつ表現儀礼データ」について、地点の確定と話者の特定及び、調査地点との照合などの作業が必須である。これを行う傍ら、コンピューターにそれらのデータを打ち込む仕事もしなくてはならない。今後の地図化作業を円滑に実施するための重要な下準備である。この仕事で、通信依頼実地調査の地点では話者の名前が答えられていない地点がある。方言コンプレックスの残存による。 2.アクセントの例を用いて、ワードとファイルメーカープロによる言語地図化作業を練習した。学生の支援を得ての作業である。アクセントは変種が少ないので、比較的容易に地図化が可能であった。しかし、本当にあいさつデータを入力することになった場合に、巧く行くか、不安がある。IT機器に堪能な業者の支援が必要である。 3.2000年にポーランドで第一質問項目地図に基づいて講演した。「朝、家族にあいさつを行わない」のは地方であり、あいさつを行うのは都市である。この事実を確認するために、フィリピンのルソン島の7地点で方言調査を実施した。北部のアラミノス近郊、マニラ市内、中部イロイロ州の二地点、北カマリネス州の二地点である。それらは、みな、朝起きたときに家族との挨拶は行わなかった。人口よりも家の構造が、あいさつの有無と関連があると見て良いだろう。 今後は、言語地図化と解釈に向けて、一層の努力をしなくてはならない。
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[Publications] 江端義夫: "談話言語行動の方言地理学"『方言地理学の課題』(本). 329-344 (2002)
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[Publications] 江端義夫: "人間不在の方言学からの脱皮"『21世紀の方言学』(本). 273-285 (2002)
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[Publications] 江端義夫: "渥美半島方言助詞の研究(前篇)"広島大学大学院教育学研究科紀要. II・51. 71-80 (2002)
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[Publications] 江端義夫: "方言文明史観"国際教育研究. 45. 32-42 (2002)
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[Publications] 江端義夫: "日本語方言における語順間推移の法則"『地域語研究論集-山田達也先生喜寿記念論文集-』(本). 121-152 (2002)
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[Publications] 江端義夫: "方言の実態と原理"『朝倉日本語講座(10)方言』(本). 1-23 (2002)
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[Publications] 柴田武, 山田進編: "類語大辞典"講談社. 1496 (2002)