2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610443
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
木村 東吉 島根大学, 教育学部, 教授 (90031814)
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Keywords | 宮澤賢治 / 《春と修羅 第二集》 |
Research Abstract |
1 前年度に引き続き、宮沢賢治の自筆原稿を調査した。今年度も『詩稿補遺』および『春と修羅第三集』を重点的に調査したが、『春と修羅第二集』についても補充調査を行った。 2 この調査の中で、文圃堂版全集編集時に詩稿に打たれた遺稿整理時番号を再確認して(『新・校本全集』にもミスがある)これに欠番があることに気づいた。これに基づいて現在は失われている詩稿を特定することにより、詩集の成立過程の解明に一層の精確さを期すことができると考えている。 3 『春と修羅』(第一集)の詩章「春と修羅」における補充稿と《春と修羅第二集》の第二詩群において、詩人の心象を触発した素材や心象の性格にゆるやかな対応関係があることを確認した。これによって、《春と修羅第二集》が、作者の第二詩集という意味ではなく、『春と修羅』の第二集として構成されていることを推定した。 4 『春と修羅』(第一集)の詩章「春と修羅」における後半九篇と《第二集》の第三詩群・第四詩群との関連を吟味して、これらが共に類似のモティーフを取り上げながら、昼夜及び詩人の視点の移動方向を逆にするなどして対称関係を持たせた構成になっていることを確認した。 5 文語詩〔萌葱いろなるその頸を〕についての作品研究を行い、同一素材による《第二集》からの展開のあり方を確認した。 6 昨年度翻刻した保坂嘉内(賢治の盛岡高等農林時代以降終生の友であった)の大正5年の短歌日記の校正を完了した。
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Research Products
(1 results)