2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610444
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
位藤 邦生 広島大学, 文学部, 教授 (10069536)
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Keywords | 藤原俊成(フジワラシュンゼイ) / 藤原定家(フジワラテイカ) / 明月記(メイゲツキ) / 真名・日記(マナニッキ) / 自筆本(ジヒツボン) / 時雨亭文庫(シグレティブンコ) / 注記(チュウキ) / 日記文学(ニッキブンガク) |
Research Abstract |
本研究は、藤原定家自筆本『明月記』が冷泉家時雨亭叢書として刊行され始めたのを受けて、従来多く利用されていた国書刊行会本『明月記』本文と詳細な比較を行って、『明月記』本文の性格を検討し、歴史史料、文学資料としての『明月記』研究の基礎を築くことが目的であった。その際、はやく冷泉家から流出し各所に分蔵されている『明月記』自筆本断簡をも精査する必要があった。こうして調査した結果、自筆本と後の書写本(国書刊行会本の底本を含む)との大きな違いに、補記(小書の割注や頭書の類)の有無があった。作業の実際は、自筆本を丁寧に解読し、特に補記部分を解読してゆくこと、それの翻字に費やされた。。 (1)公刊された全体の中から、特色ある補記の部分を取り出して、解読のうえ補記の内容を吟味した。 (2)特に正治二年度の補記を詳しく検討し、国書刊行会本との比較を行った。 (3)以上の検討の結果、特に補記部分については、後の書写本やそれを基にした活字本では省略されることが多いが、補記の部分にこそ記主定家の本音や願望があらわれており、文学的視点からは重要であることが明らかになった。
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