2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610469
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Research Institution | HIROSHIMA PREFECTURAL WOMEN'S UNIVERSITY |
Principal Investigator |
丸山 浩明 県立広島女子大学, 国際文化学部, 助教授 (00239162)
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Keywords | 石印本小説 / 近代小説 / 清末民国期 |
Research Abstract |
本年度については本来西洋小説理論の展開を跡付けながら、石印本小説や古典小説再評価が近代小説形成にどう作用したかを潮流としてまとめることを目的として総合的に作業を進める予定であった。 このうち、当時の古典小説に対する評価記事の整理検討は続行し、清末から民国期にかけてのおおよその実態は把握できた。しかし同時に、それら対象として挙げられた古典小説そのものの発行の実態は不明朗な部分が多く、特に評価と発行との関係において如何なる影響関係があるかの点については残念ながら新たな知見は得られていない。さらに、過渡期の特徴として旧態依然とした形式・内容の小説も新理論の導入とは一線を画する趨勢で陸続と発行され続けた事実が存在し、理論の反映としての近代小説形成までには随分と距離があることも感じさせられる結果となった。 加えて、昨年度末(2001年3月)に韓国での研究会で発表した、石印本小説の方面から特徴をまとめる作業過程において新資料を入手できたことにより、書籍の値段や流通等新たな問題点が発見されたため、むしろその側面から継続して検討することに重点を注いだ。 そのため、当初予想した両方面から総体的に研究する目標からいえば、近代小説形成の要素として小説批評や小説理論の側面からの考察はまとめきれないままとなった。しかし、課題として掲げた石印本小説との関係の側面からはその特徴をまとめて所属機関の紀要に研究の一端を掲載発表した。よって、所期の目標は期間内を通してほぼ半分ほど達成されたと判断するものである。研究費補助金の交付期間は本年度で終了となるが、得られた成果は今後も継続して発表するつもりである。
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