2000 Fiscal Year Annual Research Report
現代英語の動詞表現にみられる結果と過程の意味の連続的段階性
Project/Area Number |
11610481
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安井 泉 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 教授 (00110578)
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Keywords | 図像性 / 動詞 / 出来事 / 段階的 / 意味 / 結果・過程 / 含意 / 連続性 |
Research Abstract |
英語の動詞表現等が「結果」までの意味を含む場合と結果は含まず「過程」の意味のみをもっている場合とがあることは良く知られているが、研究を進めると、to shoot NPなど「結果までを含む表現」は、「結果が焦点となっている」ことが明らかになった。さらに、「結果を含まない表現」には、to kick at the doorのように「過程が焦点となっている表現」とto stop a person from doing「結果を含まないことが焦点になっている表現」との二つの場合があることが明らかになった。あわせて、「結果までを含む表現」の受動態は、He was shot.のように、それでおしまいという「完結的意味」をもつのに対して、「結果を含まない表現」の受動態は、He was shot at.のように、その後も狙われ続けるという脅威の念を受動態の主語に抱かせる「持続性」、「非完結性」の意味をもつことも明らかになった。また、結果を含まないようにするのは、着点に向かう行為がどの時点で中止されるのかに関して、いくつかの種類があり、to stop a person from swimmingでは「泳ぐ前からの中止」すなわち出来事の「開始部分以前での阻止」とto stop a person swimmingでは「泳いでいる人を途中でやめさせる」意味となる出来事の「核の途中での中断」などが首尾一貫した形で観察可能である。「結果の含意」の連続的段階性(gradience)には、(i)語彙のレベル、(ii)語彙と構文の相互作用によるレベル、(iii)構文の形式によるレベルの3つのレベルがあり、それぞれのレベルのおいて連続的段階性が観察されることが例証された。また、本研究は、結果の含意を糸口に行われたが、さらに発展した「出来事の構造とその統語的反映」という広範で本質にせまる図像性研究への足がかりとなった。
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[Publications] 安井泉: "英文法-意味と形(口頭発表)"青山英語学談話会. (2000)
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[Publications] 安井泉: "英語において出来事はどう表されるか(口頭発表)"青山英語学談話会. (2001)
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[Publications] 安井泉: "結果の残像"東西言語文化の類型論特別プロジェクト研究報告書. (印刷中). (2001)